U-23日本代表の筑波大FW内野航太郎(19)が、決定力の高さを披露した。関東学院大とのリーグ開幕戦で今季初得点をマーク。チームを3-0での快勝に導いた。パリ五輪アジア最終予選を兼ねるU-23アジア杯カタール大会前、最後の試合で代表メンバー唯一の大学所属選手が存在感を発揮。パリ切符獲得へ弾みをつけ、この日の夜、決戦の舞台カタールへ飛び立った。

抜群の得点感覚だった。前半12分。左からの崩しに、内野はペナルティーエリア内で絶妙なポジショニングをとった。仲間のクロスを冷静に左足で決めた。「クロスからゴールするという自分の強みがある。クロスを上げる場所、合わせる場所はチームで共通認識できている。ニアで半代(将都)選手がつぶれてくれた中で、自分がフリーで合わせる形になった」と、今年の関東大学サッカーリーグの開幕ゴールを振り返った。

「サプライズ選出」だった。チームトップの4点を決めた昨年9~10月の中国・杭州アジア大会と、1得点の同11月のアメリカ遠征は、ともに追加招集だった。直近3月の強化試合では選外となっており、今回のメンバー入りは「ビックリしました」。開幕戦に向けた練習後の締めのミーティングで、小井土正亮監督から「うれしい話がある」とみんなの前で代表選出を伝えられた。驚きつつも、冷静に「何の問題もない。常にそこに行くために準備しています」と受け止めた。

大学生ならでは、の悩みも生まれた。新学期が始まっていない中、履修登録と欠席届書類の作成に追われた。15コマほどを履修予定だが、アジア杯で5月3日の決勝まで進めば、いきなり約1カ月間、授業を欠席することになる。それも日の丸を背負うからこそ。「サプライズ選出だろうとラッキーボーイだろうと何でもいいので、チームを自分が勝たせられるようにやっていきたい」。昨年のアジア大会での爆発、そして3月24日に行われた大学日韓定期戦でも2得点を挙げた「アジアキラー」。内野が、日本をパリ五輪に導く。【佐藤成】

◆内野航太郎(うちの・こうたろう) 2004年(平16)6月19日、神奈川県生まれ。5歳でサッカーを始め、横浜の下部組織で育つ。ユース時代は高校年代最高峰のプレミアEASTで21得点を挙げ得点王。23年に筑波大進学。代表招集による離脱や負傷もありながら、13試合9得点を記録した。185センチ、79キロ。