今大会最も身長の低い147センチの「ヤングなでしこ」MF中里優(18=日テレ)が、U-20(20歳以下)女子W杯1次リーグ最終戦のスイス戦(26日、東京・国立競技場)に出場する可能性が出てきた。24日、日本代表は都内で2部練習を行ったが、不動のボランチMF藤田のぞみ(20=浦和)が体調不良で午後練習をキャンセル。同ポジションの中里の初出場が現実味を帯びてきた。小学校からなでしこジャパンMF沢穂希(33=INAC神戸)と同じ道を歩む、小柄な18歳の武器は攻撃力。日本の1次リーグ突破の切り札になるかもしれない。

 ナイター照明のない薄暗くなったグラウンドで、147センチの小さな体にスポットライトが集まった。紅白戦で控え組のボランチに入った中里は「出番がきたら持ち味の運動量で動き回って、得点など大きな仕事がしたい」と力強く話した。

 ボランチ藤田が疲労による体調不良を理由に夕方の練習を回避。スイス戦は引き分け以上で決勝トーナメント進出が決まるため、藤田を温存する可能性もある。吉田監督が「相手が疲れた時に威力を発揮する」と評価する中里が、途中出場で日本の切り札になるかもしれない。

 チーム最長身173センチののDF浜田が言う。「(中里)優は体を当てにいっても肩でかわされてしまう。小さいけど体幹は強いし足元の技術もうまい」。中里自身も「小さい時から男の子や体の大きい人ばかりとやってきましたから」とハンディを感じていない。

 サッカーを始めた小1から、府ロクSC-日テレと沢と同じ道を歩む。実家も徒歩10分と近い。その沢も「小さくてよく動く」と存在を認めている。今年1月の全日本ユース選手権決勝では、常盤木学園高相手に決勝ゴールを決めて日テレメニーナを優勝に導いた。今回も大舞台で力を発揮する“沢魂”を見せつける。【鎌田直秀】

 ◆中里優

 なかさと・ゆう。1994年(平6)7月14日、東京・府中市生まれ。府ロクSC-日テレメニーナを経て今年ベレーザ昇格。今季なでしこリーグ全9試合中4試合に途中出場。好きな食べ物は春巻き。家族は両親と兄、姉。147センチ、40キロ。足のサイズは22センチ。血液型A。