ヤングなでしこの“ポスト丸山”は私よ!

 U-20(20歳以下)女子W杯で初の4強入りした日本は2日、準決勝の前回王者ドイツ戦(4日、東京・国立競技場)へ向けて埼玉県内で練習した。昨夏の女子W杯では、なでしこジャパンのFW丸山桂里奈(29=大阪高槻)が準々決勝のドイツ戦で決勝点を挙げて、初優勝へ勢いづかせた。ドラマ再現へ、紅白戦で左サイドバックに入ったDF浜田遥(19=大阪高槻)が、持ち味の攻撃参加で所属クラブの先輩に続く値千金弾を狙う。スーパーサブが有力なFW横山久美(19=岡山湯郷)は丸山と同じ得意のドリブルからのゴールを誓った。

 紅白戦を終えると、浜田はシュート練習に集中した。雨雲が近づき、周囲が暗くなる中、黙々と蹴り続けた。代表ではDFの左サイドバックだが、所属する大阪高槻ではFW登録。「本当はFWなので、やっぱりゴールは狙っている」と、本音をもらした。

 ドイツ戦は持ち味の前線まで攻め上がるオーバーラップを最大限に生かす。吉田監督からも「サイドバックはもっと攻撃参加をして」と指示を受けた。チャンスがあれば得意のドリブルでゴール前まで切り込んで、昨年のW杯の丸山のような、勝利の女神になるつもりだ。

 今季から丸山が同じ大阪高槻に移籍してきた。「桂里奈さんが来てから私も頑張れば(代表に)入れると思い始めた」と意識が変わった。チームでは丸山の1列後方の左MFでプレーしている。W杯のドイツ戦で日本中を熱狂させたドリブルも吸収中。その姿勢や足元の技術を頭にたたき込み、反復練習してきた。

 大阪高槻では背番号10を背負っているが、まだ移籍して2年。先輩たちからのあらゆるアドバイスに、自分のプレーを見失って苦悩した。そんな時、丸山に声を掛けられた。「ブレずにやっていいんだよ」。そのひと言で、迷いが消えた。昨年のW杯のドイツ戦は、深夜にテレビで見た。丸山の決勝弾に鳥肌が立った。今度は自分の番。自分らしいプレーで、サイドバックから丸山譲りのドリブルでゴールを目指す。【保坂恭子】

 一方、FW横山もヤングなでしこの丸山桂里奈になる!

 今大会はスーパーサブ的な役割の起用が多く、鋭いドリブルが脅威となっている。ドイツ戦も途中出場の可能性が高く「先発でも途中出場でもやることは得点を取ること」と意気込んだ。

 なでしこのドイツ戦と言えば、昨夏の女子W杯準々決勝ドイツ戦で丸山がスーパーサブとして出場して挙げた決勝点が強烈な印象として残る。横山も当然、先発へのこだわりがあるが「ドイツに勝つにはチームが1つになる必要がある。自分の与えられた仕事をする」とキッパリと話した。

 ドイツの弱点の1つとして終盤に足が止まることが挙げられる。日本が今大会の全4戦を夜に行っている半面、ドイツは4戦中3戦を日差しがあり暑さの残る夕方に行っている。準決勝に向けた休養日も日本が4日でドイツが3日。疲労度の差は歴然な上、4日は暑さがぶり返す天気予報だけに、ドイツが再び終盤に失速する可能性は高い。

 だからこそ、横山だ。「相手が疲れた中で自分のドリブルが効いてくると思う」。10年のU-17W杯準決勝北朝鮮戦で4人抜きドリブルから得点を奪い、FIFA年間最優秀ゴール賞にバルセロナFWメッシと並びノミネートされたドリブラーが丸山ばりのゴールでドイツの壁を射ぬく。【菅家大輔】