日本代表FW本田圭佑(26=CSKAモスクワ)が、極秘トレーニングを行っていることが9日、分かった。古傷の左足首とインフルエンザ合併症の検査と治療のため緊急帰国していたが、国内の施設で練習を再開。復活に向けた姿を日刊スポーツが独占キャッチした。同代表アルベルト・ザッケローニ監督(60)はこの日、欧州視察のため出発。面会した本田について、6月のW杯アジア最終予選での復活に太鼓判を押した。

 本田が動いていた。目いっぱい追い込んでいた。必死の形相を見せながら、体をとことんいじめ抜いていた。緊急帰国して以来、姿をくらましていたが、国内での極秘トレーニングを日刊スポーツが独占キャッチ。まだ病み上がりの状態のはずだが、蹴って、走って、叫ぶ本田の姿がそこにはあった。

 ウオーミングアップを終えると、静かにグラウンドに足を踏み入れた。ピッチからしばらく遠ざかっていた本田だが、鋭い目つきは変わっていなかった。カメラ音に気づくと一瞬視線を外に向けたが、またすぐに黙々とトレーニングに打ち込んだ。誰にも邪魔されることなく、ひたすら。フィジカル中心のメニューは、復活への第1歩だった。体に巻き付けたチューブを引っ張られ、約15メートルの距離をあらがうように走るその形相は、まさに今立たされている逆境をはね返そうとしているようだった。

 長くピッチから遠ざかっている。神戸で行われた2月6日のラトビア戦に出場した後、合宿地スペイン入りしたが離脱。原因は複合的とみられ、古傷の左足首と、クラブのスルツキー監督によると「インフルエンザ合併症」だという。治療のため3月26日に緊急帰国。それは日本が敵地ヨルダンで敗れ、W杯出場切符を逃す数時間前のことだった。本田は招集を見送られ、日本は敗戦。日本全体に漂ったもどかしい思いは、本田も同じ。検査結果によっては、早ければ11日にもモスクワにたつ。この日、練習メニューについて同行しているスタッフに、激しく言い寄ることもあった。息切れしながらのダッシュからシュートに納得がいかないと、声にならないような声で絶叫した。やはり焦りもあるのだろう。

 約1時間に及ぶメニューを終えると「全部やったよ。やれるとこまでやったよ」とスタッフにこぼした。疲労感の中にも充実感を味わっているようだ。最後には居残りでFKを確認。ボールはきれいな軌道でゴールに吸い込まれた。まだ日の丸を背負ったときに見せるような、すごみは感じられない。しかし、6月のW杯予選最終決戦の場には、これまで通り、いや、さらに進化して戻ってくる。そう予感させる本田の姿だった。<本田の経過>

 ◆CSKAモスクワを離脱

 2月中旬にスペインで2次合宿を行っていた所属クラブを離れ、右膝の定期検査などのためにバルセロナの主治医のもとへ。

 ◆合流

 2月下旬に始まったスペインでの3次合宿にも参加せずバルセロナに滞在していたが、同合宿後の練習再開日となった3月6日にモスクワ市内の練習場に姿を現した。ただ、室内で別メニューだった。

 ◆リーグ再開戦は欠場

 3月9日のリーグ再開クリリア戦(アウェー)は調整遅れにより欠場。ロシア国内では体調不良が原因との報道も。

 ◆代表メンバー外

 W杯アジア最終予選ヨルダン戦(3月26日)に向けたメンバー発表が同14日に行われたが、体調が万全でないため選出されなかった。

 ◆緊急帰国

 3月26日に成田空港着の航空機で帰国。関係者は「左足首の治療のため」と明言。CSKAモスクワの許可を得てのもので異例の日本での治療、リハビリに入った。

 ◆インフルエンザ合併症が原因?

 CSKAモスクワのスルツキー監督が6日のボルガ戦後、本田の離脱理由について「インフルエンザの合併症が長引き日本に戻っている」と説明。一方で日本協会の原強化担当技術委員長は「(左足首を含め)順調にきている」と話した。