真夏の夜の珍事! 甲府対仙台戦で前半終了のホイッスルが2度鳴るという事態が起こった。前半のロスタイムの掲示は「1分」。しかし、1分を経過する前の約20秒程度で家本主審は笛を吹き、前半戦を終了させた。当然、数人の選手は自陣ロッカールームへ歩きだしたが、両主将や監督スタッフらは「なぜ時間が残っているのに終わるのか」と、家本主審に詰め寄るゴタゴタが起きた。

 そこから約5分間、グラウンド上で主審を取り囲んで一騒動が展開された。これに、熱帯夜の会場は大ブーイングに包まれた。しかし、審判団で話し合う様子は見られず、家本主審は両チームに「再開」を通達。ドロップボールで再開し、甲府GKがボールを蹴り上げた後、再び前半終了の笛が鳴り響き、ようやくハーフタイムになった。

 審判団のミスと、中途半端と言われてもやむを得ない判断から起こった前代未聞の珍事だった。海野一幸実行委員によれば「主審は0分と第4審判員へ伝えたが、手違いで(第4審判は)1分と掲示してしまった。主審は掲示を見て試合を続行したが、その後に(主審の権利で)判断し、再開させ、あのタイミングで笛を吹いたようです」。

 試合後、仙台渡辺晋監督(41)は「人間であればミスは誰にでもある。(最初の笛が鳴った際は仙台ボールで)我々のボールになるような促しを、と主審にはそう求めました」と言った。富田主将は「ちゃんとして欲しい」と言い、MF梁は「あんな中途半端になるなら(やり直しは)必要なかった」と、ばっさり切り捨てた。【成田光季】