創部7年目で全国1勝! 北海道代表として2年ぶり2度目出場の札幌大谷が、鹿児島城西(鹿児島)をPK戦の末に下し、高校総体含め全国大会5度目の挑戦で初勝利をつかんだ。鹿児島勢との対戦は最近4連敗中だったが、4強入りした86年度の室蘭大谷(現北海道大谷室蘭)以来、29大会ぶり撃破となった。難敵討ちの勢いに乗り、明日2日の2回戦は愛知の強豪中京大中京と対戦する。

 2年前の雪辱を果たした。1-1で迎えたPK戦は、GK坂桂輔(3年)が自ら最初のキッカーとして成功し、守護神としても2本のシュートを止めた。最後は6人目の庄内巧真(3年)が落ち着いて左下に流し込み、全国5度目にして初めて歓喜の輪ができた。

 田部学監督(41)の采配が、はまった。前半8分に先制されると、前半はほぼボールを保持できずに押し込まれた。「序盤はボランチへのプレッシャーが厳しく、ビルドアップに参加できず、中盤が苦しくなっていた」。ハーフタイムにGK坂と、センターバックに、ボランチの負担を減らすよう指示し、後半から一気に流れを取り戻した。初めて臨んだ2年前は、先制され終始、劣勢のまま0-3。今回は、殴られても殴り返して、勝利をつかんだ。

 MF西野尾は、埼玉直前合宿で、13年度メンバーの村松謙(駒大2年)から全国で勝つためのアドバイスを受けていた。「相手は同じ高校生。自分たちのサッカーをやれば必ず、結果はついてくる」。2年前に唯一、1年生でベンチ入りしていたのが西野尾だった。なすすべもなく敗れた先輩の屈辱を知るだけに「悔し涙を間近で見ていたから、余計うれしい」と喜んだ。

 09年創部時は11人、最初の公式戦は0-16だった。7年で5度の全国大会に出場し、90人を超える大所帯になった。念願の1勝に田部監督は「間違って最後までいけるかなと思わせてくれるチームになった」とさらに上を見据えた。今日1日、2年前は敗れたため全員で観戦した天皇杯決勝も、主力組はお預け。埼玉県でしっかり調整し、2勝目につなげる。【永野高輔】

 ◆北海道勢の全国高校サッカー初戦突破 12年度の旭川実以来、3大会ぶり。旭川実は初戦で大津(熊本)と対戦し0-0からPK戦で3-2で競り勝った。2回戦でも米子北(鳥取)と0-0の後、PK戦で4-2で勝ち16強に進出した。