長崎・国見高を全国高校サッカー選手権で6度の優勝に導いた小嶺忠敏氏(72)が、多臓器不全のため11日夜に鹿児島市内の病院で亡くなった鹿児島実サッカー部元監督の松沢隆司氏(享年76)を悼んだ。

 小嶺氏はこの日、J2東京ヴェルディを昨季限りで引退した国見高時代の教え子、永井秀樹氏(46)の引退試合の前座で行われた、国見高OB対東京・帝京高OB戦で監督を務め、試合後、取材に応じた。

 小嶺氏は、国見高OB対帝京高OB戦を、松沢氏がどう見ているかと聞かれると「喜んでいるでしょう。ライバルとか言うよりも、良き友ですよ」と笑みを浮かべた。そして、松沢氏への思いを語った。

 小嶺氏 松沢先生とは、お互い「九州は1つだ」と、損得勘定抜きに、いかに九州のレベルを上げるかということを、みんなで話してやっていた仲間だった。今の人(指導者)たちは九州は1つではなく、個人のためだからね。そんな人が多いからね。松沢先生とか、本当に切磋琢磨(せっさたくま)して、腹を割って話しましたからね。

 小嶺氏は、長崎総合科学大学総合情報学部総合情報学科教授と長崎県サッカー協会会長などを務め、同大と付属高サッカー部の総監督に就任した。7月20日から付属高サッカー部の遠征で全国を回っており、17日に長崎に戻る予定で「帰ったら、そのまま、お参りに行こうと思います」と話した。

 教え子の永井氏は45歳まで現役を続け、この日のOB戦でFKを直接決めた。小嶺氏は「(永井氏は)45になりましたかね。じゃあ、それだけ俺も年、取ったんだな。もう、今度、つえ突いて歩かなきゃいかんね。つえをプレゼントしてもらおうか」と冗談を言い、満面の笑みを浮かべて会場を後にした。【村上幸将】