J3アスルクラロ沼津が、逆転優勝へ望みをつないだ。ホームでFC琉球に1-0。後半20分、主将のDF尾崎瑛一郎(32)がPKで決勝点を決め、3試合ぶりに勝ち点3を獲得した。今季は残り2試合で首位秋田との勝ち点差は1。J3参入初年度でのリーグ制覇を目指し、次節はアウェーでギラヴァンツ北九州と対する。

 沼津の頼れる主将が、チームの思いを右足に込めた。0-0で迎えた後半20分、FW青木翔大(27)が体を張ったプレーでPKを獲得すると、尾崎がキッカーに名乗りを上げた。「決める自信はありました」。ゆっくりとした助走からゴール右に流し込んだ。勝敗を左右する大事な場面でも、冷静だった。GKの動きを見極めてシュート。駆け寄る仲間とともに喜びをかみしめた。

 尾崎は日々の全体練習後、自主トレで欠かさずPKを蹴っている。DFながら、FKやCKのキッカーも任せられている。PK獲得時、得点ランク2位(18得点)のFW薗田卓馬(24)にキッカーを譲ることも頭によぎったというが、「ここは自分だと思った」と振り返った。

 チームは3試合ぶりの白星を挙げ、優勝へ望みをつないだ。この日は前節まで2位の秋田も勝利し、同首位栃木が引き分けた。順位は入れ替わって首位秋田、2位栃木。沼津は3位に変わらずも、首位との勝ち点差は前節の3から1に縮まった。逆転Vのチャンスは十分。吉田謙監督(47)も「やり続けてきた沼津のスタイルを突き詰めてやるだけです」と、残り2試合を見据えた。

 次節はアウェー北九州戦。最終節はホームで栃木との直接対決が控えている。クラブはJ2ライセンスがないため、優勝やJ2自動昇格圏内の2位でも来季はJ3のままだが、結果を残すことで取り巻く環境は変わってくる。その状況を踏まえて尾崎は言った。「応援してくれる多くの人の期待に応えられるように、次も勝ちます」。快進撃を続ける東部初のJクラブ沼津は、残り2試合も全力でファイトする。【神谷亮磨】