日本文理が全国大会初勝利を遂げた。MF久住玲以(れい=3年)が全得点の2得点をマークし、立正大淞南(島根)に2-0で勝った。前半14分には自ら蹴ったPKのこぼれ球を押し込み、後半26分にはMF古木雄大(3年)の左クロスを頭で決めた。2日の2回戦は、インターハイ8強の旭川実(北海道)と対戦する。

 日本文理の全国大会初勝利を決めたのは、久住の左足だった。キックオフからわずか14分に獲得したPK。相手GK左脇を狙ったキックは阻まれたが、こぼれ球に反応した。ボールに向かって走り込み、左足を一閃(いっせん)させてゴール右隅に突き刺した。

 全国初勝利を遂げる記念すべき日本文理の全国初ゴール。駒沢隆一監督(56)が「選手権出場は夢だった。夢の向こう側にいこう」と勝利を目指して臨んだゲームは、立ち上がりから厳しいプレッシャーをかけ、球際も激しかった。1-0で迎えた後半26分にも、久住が頭で追加点。MF古木のクロスをヘッドで合わせた。右人さし指を1本突き立てて2点目の喜びを表した殊勲者は「今日はゴールしか、していない」と笑った。

 持ち前の高速ドリブルは、厳しいマークに遭って封じられた。しかし、久住は落ち込まなかった。「自分にはゴールもあるぞ、ということを見せたかった」とシュートへの嗅覚を研ぎ澄ました。まさに、獲物を狩る野生動物。試合前は、朝からほとんど食事をとらずに空腹のままピッチに立つのがルーティンだ。「体を軽くしておきたい」と習慣通りにプレーして、2本のゴール狩り。試合前は海外サッカーの動画を見るのも儀式だ。

 久住は新潟ジュニアユース出身。全国高校総体1回戦で阪南大高(大阪)に0-3で敗れた後、夏休み期間に単身、スペインに渡った。バルセロナに拠点を置くコルネアというスペインリーグ下部リーグのチームで2週間の武者修行。向上心は強い。「全国大会初勝利で日本文理の新しい歴史をつくった。その歴史を、まだまだ更新していきたい」。久住は、次の旭川実戦も飢餓感を隠さずにゴールを狙う。【涌井幹雄】