名古屋グランパスの風間八宏監督(56)は、湘南ベルマーレとスコアレスドローに終わった試合後の会見で、開口一番「一言で言って(ゴールが)入らないなじゃなくて、入れないな、というゲームだった」と苦笑いした。

 この日は両チーム最多4本のシュートを放ったMF青木亮太(22)らが躍動し、中盤から前線まで巧みにパスを回し続け、湘南の5本の倍以上の11本のシュートを放った。同監督は「チームとしてはチャンスも構築できていますし、チーム全体で動けるようになり進歩している。そこ(無得点)だけ、残念なゲーム」と総括した。

 質疑応答で「入らないなじゃなくて、入れない」発言の真意を聞かれると「シュートを外したということ。次、入れてもらえればいいですし、構築するチャンスも、まだまだ足りないとも言えるが、勝つチャンスは十分あった。決めてもらいたい」と説明した。

 「ボールをしっかり回していたが、速い攻めや長いボールを入れてもいいのでは?」と質問が出た。風間監督は「短いパス、長いパスに、こだわっていない。何が一番大切かは我々の距離でやること。短いパス、長いパスに全くこだわっていない。何が一番大事かというのは我々の距離でやること」と答えた。

 距離について問われると「距離感というのは、相手のどこを狙うか…簡単に言えば、最終ラインをどれだけ突破できるかということなので、その距離感もあるし、ボールを受ける場所も、長いボールがそのまま最終ラインまでいっていて、その背後が取れていない。MFとDFの間の背後を取ると、ほとんどがチャンスになっていた。選手も気付き、やり出して、結果的にボールがかなり動くようになった」と説明した。

 不発に終わった元ブラジル代表FWジョー(30)については「やっぱり、少し今日は、ジョーはあまり良くなかった。だんだん、疲れも出ている時だと思う。ただ、ゲームの中に、もっと、もっと入ってくればいいですし、もっと、もっと入ってもらいたいとは思います」と語った。

 取材陣から「選手は、みんなメチャクチャうまい。風間八宏が11人いるのかな? くらいの感じ。でもボールを止めすぎ。ダイレクトで回らない印象がある」と指摘されると、風間監督は「僕はあそこまで走らない」と笑った。その上で「何のこだわりもないです。全ては相手の逆を取るためで、うまくいく時もいかない時もある。ですけども、言われるところも多少、ある。全体としては、前に行くことも速くなっているし、後ろ、横のパスも少なくなっている上で進歩している」と前向きに語った。【村上幸将】