J2アルビレックス新潟は8日、鈴木政一監督(63)の解任を発表した。7日付で契約を解除していた。終盤戦に入ったリーグ戦は、27試合を終えて8勝5分け14敗で勝ち点29の19位。現在3連敗中で降格圏の21位ロアッソ熊本に、勝ち点差6に肉薄されている。新潟のシーズン途中での監督解任は3季連続で、片渕浩一郎ヘッドコーチ(43)が暫定的に指揮を執り、8日の練習は行われた。次節は11日ホームで栃木SCと対戦する。

 鈴木監督が解任された8日の練習には緊迫感が漂っていた。球際は激しく、選手から鋭い指示の声が飛んだ。「6日に次節栃木戦について(鈴木)監督と話をしたばかり」という主将のMF小川佳純(33)が重い口を開く。「ピッチで結果を出せなかったのは選手の責任。もう1度、勝利に貪欲にならなければいけない。アグレッシブさ、泥臭さを取り戻したい」。残り15試合を残しての監督解任は、チームに強力なカンフル剤になった。

 J2に降格した今季、クラブが掲げていた第1目標は「1年でJ1復帰」だった。ところが第27節が終わって8勝5分け14敗。勝ち点29の19位で、降格圏の21位熊本に勝ち点差6と残留争いに巻き込まれている。「すべては私の責任」と何度も話した中野幸夫社長(63)は「現状の成績の責任がどこにあるのか明確にすべき」と監督解任に踏み切った。一昨年は吉田達磨氏(44)を、昨季は三浦文丈氏(47)をシーズン途中で解任。今回の鈴木前監督とクラブは3季連続、監督選択で迷走した。

 暫定的に指揮を執る片渕ヘッドコーチは「今までやってきたことは間違いない。鈴木(前)監督がやってきたことを引き継ぐ」とつなぎ役に徹しながらも改善点を指摘した。「失点が多いので守備は整理したい」と3連敗中の3試合で10失点した守備のほころびを縫う作業に入る。「切り替えの速さ。球際の強さ。運動量。セカンドボール。勝負にこだわる。サッカーの原点に立ち返りたい」と新潟が失っていたサッカースピリットをよみがえらせる仕事も引き受ける。

 クラブは後任の人選を急いでいる。「つなぎ役」の片渕へッドコーチには監督不在のまま11日の第28節栃木戦と、18日の第29節大宮アルディージャ戦まで任せる意向だ。中野社長は「残り15試合、どれだけ勝ち点3を積み重ねられるかに集中したい」と待ったなしの現状を話した。【涌井幹雄】

 ◆鈴木政一(すずき・まさかず)1955年(昭30)1月1日生まれ。山梨県出身。ヤマハ発動機のDFとして活躍。磐田の監督として01、02年と2季連続でJリーグ最優秀監督賞受賞。U-18日本代表(13年)、U-19日本代表(14年)を歴任し、日体大監督から今季、新潟の監督に就任。