台風の影響でJ1は2試合が中止となり、唯一開催された1戦は浦和レッズがエースFW興梠慎三(32)の2得点で競り勝った。

興梠の最初の見せ場は1-1の前半41分だった。自らのプレスで相手の連係を乱すと、ボールを拾ったMF武藤雄樹のスルーパスに反応。ボールを受けに走りながら、首を振ってGKの立ち位置を見定めた。前に飛び出していると見るや、ペナルティーエリア外からやわらかく浮かせてダイレクトシュート。GKの頭上を越えてそのままネットを揺らす技ありの1発を決め「GKを冷静に見て打てた」と振り返った。

決勝点もふたたび武藤からのボールに合わせた。途中から右サイドに位置を変えた武藤のクロスに今度は右足ダイレクトでゴール左へ。後半からは視界が悪くなるほどの雨が降って互いに疲労が見えた中、値千金のゴールでスタンドの大歓声に包まれた。先制され、追いつかれる苦しい展開で貴重な勝ち点3をチームにもたらし「チームのいい組み立てから3点目も取れた。ゴールという形で貢献できてうれしい」と話した。

長くともにプレーする武藤も、興梠が動き出すタイミングを理解している。「自分が(後方から)ボールを引き出してラストパス、という形は昔以上にできるようになった」と、連係の深化を口にした。5月に加入してから10戦7発と好調だったFWファブリシオが負傷離脱したが、前線の2人が息のあったプレーで浦和の攻撃を支えている。