会心の勝利にも笑顔はなかった。柏レイソルの3度目のJ2降格が決まった。試合中は選手に他会場の結果は届いておらず、サポーターへあいさつに向かうときに全会場の試合が終了。降格決定の一報が入った。選手の表情はすぐにこわばり、サポーターからの拍手にも顔が上げられなかった。MF伊東は「申し訳ない気持ちでいっぱい。チームとしてまとまらずシーズンを過ごしてしまった」と肩を落とした。

試合は後半に3得点を挙げて快勝したが、勝ち点4差で追っていた3チームが全て勝ち、残留降格が決定した。10日に就任し、史上初の初陣で降格決定という憂き目にあった岩瀬監督は「今日に関してはいいゲーム。ただ目標は残留で、そこが果たせずに残念です」と頭を下げた。

最後まで1つになれなかった。昨季は4位と躍進し、オフに江坂ら他チームの主力級を複数補強。優勝を狙う戦力は整ったが、主力の負傷離脱も響き、ベスト布陣を組めないまま勝ち点を逃し続けた。クラブは柏OBを重宝し、開幕時の監督だったOBの下平氏を解任後、同じくOBの加藤ヘッドコーチを監督に昇格させた。自力残留の可能性を失う崖っぷちまで引っ張り、コーチの岩瀬氏にバトンタッチ。2度の監督交代で逆にチーム戦術は定まらず、選手は混乱した。下平氏は監督解任後も強化チームに残るなど、内部の配置転換で監督人事、補強ともに後手に回り「(監督を)代えるのが遅かった」と漏らす選手もいた。

来季は09年J2降格時のシーズン途中から指揮をとり、10年のJ2、11年のJ1の連続優勝に導いた名将ネルシーニョ氏の就任が濃厚。しかし、多くの主力が残留した前回とは違い、今回は伊東ら主力が残留するかは未知数で、降格を機に“チーム解体”の恐れもある。05、09年の降格を知るMF大谷は「1年での昇格に全力を尽くすことしか今は考えられない」。待っているのは混戦のJ2。直面する現実は甘くないだろう。【松尾幸之介】