今冬の全国高校サッカー選手権を制した青森山田イレブンが1日、同校で行われた卒業式に出席し、新たな舞台へのスタートに活力を得た。

北海道コンサドーレ札幌に入団したMF檀崎竜孔(18)は久しぶりに仲間と再会。国士舘大に進学する主将のGK飯田雅浩(18)が「理事長特別賞」を代表で受け取った。選手らは同級生だけでなく、下級生や保護者らからも記念撮影やサインを求められる人気ぶり。さらなる飛躍への期待を背負い、高校生活に終止符を打った。

全国制覇から2カ月。卒業式は輝かしい未来への激励会そのものだった。厳かな雰囲気の式典。卒業生退場で真っ先にGK飯田主将が立ち上がると、空気は一変した。くす玉が割れて「卒業おめでとう」の横断幕。大歓声に大きな拍手。クラッカーの音、紙テープも舞った。涙が入り交じった笑顔で手を振り、中には肩車で祝福される姿も。飯田は「最後にすごい雰囲気を味わえた。本当にうれしい。全国制覇は1校しか得られない称号。この経験を生かすかは自分たち次第」。式後も感謝の意を示すかのように、写真撮影やサインの求めにすべて応えた。

エース檀崎もプロとしての使命を再認識した1日となった。ホームルームでは担任から指名され、同級生を前にあいさつ。卒業アルバムにも、仲間のメッセージを寄せてもらった。「久々にみんなの顔を見てパワーをもらったし、期待もしてくれている。コンサドーレでしっかり試合に出て、結果で恩返ししないといけないと、あらためて感じました」。J2アビスパ福岡の開幕戦でDF三国ケネディエブス(18)が先発フル出場。2日のV・ファーレン長崎戦に備えて欠席したことも、発奮材料になった。

別れを惜しむ間もなく、チームの拠点となっている熊本に飛行機で移動。ベンチ外だったJ1開幕戦の悔しさを胸にアピールを続ける。「日本一はもう過去のこと。経験を生かして、プロの世界で活躍しないと意味がない」。札幌の17番は、青森山田の10番を完全に卒業した。

プロ、大学、社会人と進む道はそれぞれ。飯田は「うれしかったのは全国優勝くらい。厳しい練習を乗り越えてきたことは、これからの人生に役にたつはず」。東北社会人1部いわきFC入りのMFバスケス・バイロン(18)も「みんなが新しいサッカー人生の始まり」と心を新たにした。仲間として、ライバルとして、青森山田イレブンの切磋琢磨(せっさたくま)は続く。【鎌田直秀】