J2アルビレックス新潟は、今日20日のアウェー東京ヴェルディ戦(味の素スタジアム)の前日の19日、クラブハウスの隣接ピッチで非公開で最終調整した。新監督の吉永一明監督(51)は練習は冒頭を除き、16日から4日間連続で内容非公開にして「本番」に備えた。戦術をベールに包んで、Jリーグ初采配となる一戦に臨む。

吉永監督の表情は澄み切っていた。東京V戦への準備期間は4日間だったが、異例の4日連続での非公開練習で、トレーニング内容を隠した。「限られた時間の中で、自分が今やれることの100ではないが、悔いはない」。そう言い切る前には謝辞も口にしていた。「非公開に協力してくれた方々に感謝したい」。

4日間の非公開練習では、ポジション取りを細かく修正した模様だ。今季、主将を務めるMF加藤大(27)は「気になるところは(ゲームを)止めて、チーム全体で(立ち位置を)共有した」と言う。「ちょっとしたスキからの失点は技術の中に原因がある」と吉永監督は一切妥協しない姿勢も、貫く意向だった。

昨季まで2年間務めた新潟・S(シンガポール)監督として、2季連続でシンガポールプレミアリーグ優勝など目覚ましい実績を持っている。しかし、Jリーグの采配は初めて。「1戦、1戦が大事。次があるとは思っていない」と新潟の監督としての決意は固いが、顔つきに悲壮感はなかった。

「選手がどういうプレーをしてくれるかが一番の興味。楽しみしかない」と言う。対戦する東京Vは、ここ3試合未勝利(2分け1敗)ながら、もちろん全力でぶつかるつもり。「選手には全力でプレーしてサッカーを楽しんでもらいたい。その姿を見たサポーターに響くものがあればいいと思う」。吉永監督は勝利でサポーターの心も、わしづかみにする覚悟もみせた。【涌井幹雄】