Jリーグは4日、湘南の曹貴裁監督(50)にパワハラ行為があったとして、公式戦5試合の出場停止とけん責の処分を科した。

パワハラの具体的事例を含む調査報告書も公表した。クラブには制裁金200万円とけん責の処分を下した。これを受けた湘南は平塚市内で会見し、曹監督が騒動後初めて公の場に登場。6日の川崎フロンターレ戦から復帰が可能だが、処遇は保留と発表した。

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Jリーグが断を下した。3日の裁定委員会で、活動自粛中の曹監督には「けん責」と「公式試合5試合の出場資格停止」、湘南には「けん責」と「制裁金200万円」の処分を決めたことを発表した。クラブでのパワハラ行為をリーグ主導で調査し、裁定を下したのは初めて。村井チェアマンは「監督はいきすぎた指導が存在したと認定し、そうした事実をもとに判断した。指導者としての力量も高い監督でもあるので反省をして再起してほしい。湘南は管理監督責任は重いという認識」と説明した。

公表された18ページの調査報告書にはパワハラの詳細が記載された。第一報は7月のJFAへの匿名の電話通報。村井チェアマンは「臆測とか伝聞とか風評というより内容に具体性があり信ぴょう性が高く調査が必要」と判断し、弁護士4人による調査チームを結成。約60人の関係者へのヒアリング調査を実施した。

8月14日から9月6日までの調査で実態が明らかになった。「(お前は)チームのがんだ。他に移るから出ていけ!」などの暴言や、法的には暴行罪となりうる不適切な行為、曹監督による告発者の探索行為なども確認された。「怖かった」「朝、吐き気を感じる」などの訴えは少なくなかった。会見に出席した芝弁護士は「監督自身が主張するようにチーム、相手のためを思ってしたものでも適正な範囲を超えている」と話した。

村井チェアマンは会見前に湘南の真壁会長と水谷社長に内容を伝え、「クラブとして再発防止に向けて動きだします」との返事を聞いたという。今後は全クラブへの周知徹底を図りながら「各クラブに人事系のコンプライアンス対応するヒューマンオフィサーの設置を準備する。Jリーグとクラブで手を携えながら、こうしたことがないように取り組んでいきたい」と誓った。【浜本卓也】