16年連続16度目出場の藤枝順心(静岡)が、2年ぶり5度目の決勝進出を決めた。修徳(東京)に2-1で勝利。一時は同点とされるも、1-1で迎えた後半45分にDF角田菜々子(3年)が決勝点を挙げた。2年ぶり4度目の全国制覇を懸けた決勝は、12日午後2時10分からノエビアスタジアム神戸で行われ、神村学園(鹿児島)と対戦する。

終了直前に歓喜の瞬間が待っていた。1-1の後半45分。左サイドの藤枝順心DF角田が、右足で中央へクロスを送った。しかし、このボールがぐんぐん伸びてゴールに向かう。最後は相手GKの手をすり抜けて、ネットに刺さった。「最初は、入ったのかどうかよくわからなかった」とぼうぜんとする中、次々駆け寄る仲間を見て実感。歓喜の輪の中心で、満面の笑みを浮かべた。

テレビ局のインタビューでは「狙った」と笑った角田だったが、取材エリアでは「クロスを上げたら入った」と“訂正”。2回戦の星槎国際湘南(神奈川)戦に続く今大会2点目は、ラッキーな形で値千金の決勝点となった。多々良和之監督(55)も「PK戦も覚悟した。最後の最後にサッカーの神様がほほ笑んでくれたのかな」。運も味方にして、接戦を制した。

角田だけでなく、PK戦を制した前日6日の準々決勝では、GK松井里央(3年)が主役になるなど、日替わりでヒロインが誕生。今大会の10得点も、選手6人で記録している。指揮官は「今年は特別な選手はいないけど、3年生を中心にみんなで支え合える」。チームは長所を存分に発揮し、決勝へと駒を進めた。

イレブンは12日に迎える神村学園との最終決戦に備えて1度、帰静。角田は「みんなとできる最後の試合。最後は悔いを残さず、笑って終われるようにしたい」と力を込めた。DF長江伊吹主将(3年)も「ここまで来たら優勝しかない。このチームなら大丈夫」と言った。4度目の頂点まであと1勝だ。【前田和哉】