木山ベガルタは今季初陣を飾れなかった。J1仙台はアウェーで浦和レッズに2-5の敗戦を喫した。浦和駒場時代含む相手本拠地は「鬼門」で、過去のJリーグ公式戦は4分け12敗。またしても悪夢を味わった。

シュート数は11対13で大差はなかったが、最後の精度を欠いて力負け。それでも高卒2年目のMF田中渉(19)が69分の出場で2ゴールと奮闘。名古屋グランパスとのリーグ開幕戦(22日、ユアテックスタジアム仙台)に向け、希望の光をともした。

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試合開始わずか35分で3失点。沈む仙台をよみがえらせたのは、田中だった。前半41分に今季チーム初ゴールとなる反撃の1点目を突き刺した。DF蜂須賀孝治の右クロスをDF常田克人が頭で落とし、最後は右足で流し込んだ。「いいシュートを打てるとは思っていなかったが、ミートを意識して決められた」。その1分後の同42分には、FWジャーメインのシュートのこぼれ球に反応し、左足で押し込んだ。「クロスに入っていくのはキャンプでもやっていたし、あそこにこぼれてきたら決められる感覚もあった」と自信を示した。

一方、守備面ではまだまだ課題がある。前半9分に許した先制点は、田中が陣取る左サイドを崩され失点。「守備の部分での強度やポジショニングが悪いので、そこを改善し、攻守の切り替えや球際の部分でも、もっと戦わなくてはいけない」と反省する。

ルーキーイヤーの昨季は、リーグ戦1試合含む公式戦6試合に出場。今季はゴールやアシストの目に見える結果にこだわり、フィジカルや走力強化に励んでいる。そして2020年は左サイドハーフを主戦場に好スタートを切った。初の対外試合となった1月20日、沖縄キャンプでのFC東京戦でチーム初ゴール。公式戦でもチーム初弾で、ブレークの気配が漂う。

木山監督は「少し点差が離れた敗戦だったが、トータルして見ると目指しているもの、取り組んでいることの姿勢は出せた」と総括。田中のプレーについては「ポジション取り、少しボールロストするところだったり、これから高まると思うし、今日のプレーに関しては良かった。でももっと高めないといけないところがたくさんあるので、自分の中でしっかり落とし込んで、やってくれれば」。負傷者が続出する攻撃陣の中で、田中がチームを照らす存在になる。【山田愛斗】