浦和レッズのDF岩波拓也(25)が、新型コロナウイルスの影響で多忙を極める故郷の医療現場に「食」の支援を始めた。ヴィッセル神戸の下部組織を経て神戸でプロ生活をスタートさせた岩波は、浦和に移籍した18年夏、神戸市内に日本料理店「いそかみ」を出店。妹が4月から看護師になり、医療の最前線の現状を把握。かつて治療を受けていた同市内の川崎病院へ弁当の形で恩返しすることを決めた。

岩波はリオデジャネイロオリンピック(五輪)直前の16年5月「トゥーロン国際大会」の試合中で左膝内側側副靭帯(じんたい)を損傷。五輪へ厳しい状況だったが、川崎病院のスタッフの治療もあり、リオデジャネイロ五輪代表に選出された。また、食事中、のどに大きな骨が刺さってしまった際、抜く処置を施してくれたのも同病院だった。同病院が発熱外来診察で忙しくなっていること、食事はサンドイッチなどが多くなっている現状を聞き「少しでも役立つことができれば」と5月1日から「いそかみ」の弁当を届けている。

初回は「未曾有の危機の中、本当に大変なお仕事、心より感謝いたします。私は今、浦和レッズに所属していますが、神戸という街でヴィッセル神戸に育てていただきました。神戸という街に育ててもらったおかげで、今の私があります。ささやかではありますが、お弁当という形でもお力になれればと思います。大変なお仕事、本当に心から感謝しています」と、自筆の手紙を添えて届けた。医療スタッフから、弁当の写真とともに感謝のメッセージが届いたという。岩波は「緊急事態宣言が終わるまで、1カ月ほど続けられれば」と話している。