首位を走る川崎フロンターレが“鬼門突破”でJ1で7連勝のクラブ新記録を達成した。2位だったG大阪とアウェーで対戦し、後半3分にMF大島僚太(27)がミドルシュートを決め、1-0で勝利。この試合前まで1勝5分け9敗だった敵地G大阪戦も乗り越え、今季8戦を終えて無敗と、早くも首位固めに入ってきた。

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耐え忍んでつかんだ好機を逃さなかった。後半3分。川崎FのMF大島はペナルティーエリア手前で受けたパスに迷わずダイレクトで右足を振り抜いた。相手守護神の東口が1歩も動けないほどの鮮やかな軌道で、敵地のゴールネットを揺らした。攻め込まれた前半をこらえ、後半開始に勝負の潮目を動かした。クラブ初のJ1での7連勝。鬼木監督は「厳しい環境の中で最後まで闘い続け、ゼロで抑えられたのを素晴らしく思う」と選手をたたえた。

新記録達成が懸かる舞台には、負のデータが充満していた。敵地でのG大阪戦は昨季まで1勝5分け9敗で、今回は相手も4連勝中で2位。コロナ禍で味方サポーターもスタジアムに不在の中、厳しい戦いになるのは想像に難くなかった。

前半は守備網をかいくぐられてピンチを迎えた。だが、DF谷口新主将をはじめ守備陣は動じなかった。「こういう時間もあるよと、我慢する時間だなと慌てずにやれていた」。我慢と割り切り、声を掛け合い、体を張った。前線の選手も積極的な守備でピンチの芽を摘んだ。全員でG大阪の分厚い攻撃を封じこめた。

谷口は今季から主将に就任し、ここまでフィールド選手で唯一の全試合フル出場。指揮官から「思っていた以上に成長過程に差し掛かってきたと思っている。パフォーマンスもそうだし、良い悪い関係なく声をかけ続ける姿とか今までなかったものが見えてきた。力強さを感じる」と絶大な信頼を寄せられる。その新主将は「序盤だけど1位と2位の直接対決だったのでこだわりたかったし、そういう相手に結果を残せたのはうれしい」と勝利をかみしめた。

8試合を終えて無敗の7連勝、21得点6失点と攻守で圧倒的な強さを見せる。8月はルヴァン杯を含めて残り8試合。谷口は「連勝記録もうれしい。もっともっと伸ばせるようにこだわっていきたい」と全員の思いを代弁した。鬼門突破でクラブ新記録を樹立した川崎Fに、不安要素は見当たらない。【浜本卓也】

川崎F・MF大島「差し込まれる時間もあったが、全員で耐え抜くことができて勝利できて良かった。(G大阪は)ここ最近あまり勝ち切れていない相手という印象があるのでよかった。(7連勝は)知らなかったが、勝ちながら成長するのを掲げてやっているので続けられてうれしい」。