浦和レッズレディースがDF高橋はな(20)の得点でリーグ5連覇中の日テレ・東京ヴェルディベレーザに1-0で勝って開幕3連勝を飾り、勝ち点と得失点差で並んだINAC神戸レオネッサを総得点数差でかわして首位に立った。

0-0で迎えた後半10分、相手ゴール前でボールを奪うと、MF塩越柚歩のパスから高橋が右足でネットを揺らした。長くリーグの覇権を握られている女王から奪った勝ち点3。今季初のホームでの有観客試合でサポーターに白星を届けた高橋は「たくさんの方が来てくれて、拍手が力になりました。ベレーザに勝っていかないと優勝は厳しくなる。強いベレーザに勝てたのは全員の自信につながると思います」と喜んだ。

後半22分に得たFKではバー直撃の強烈なシュートを放つなど、攻守に存在感をみせた。身長168センチの高さとユーティリティー性が評価され、センターバック(CB)やサイドバックなどの最終ラインからFWまでさまざまなポジションをこなす20歳。「自主練習でシュート練習に取り組んでいたので、(FKは)狙えるかなと思って蹴ってみました。各ポジションで必要なことも日々勉強できている。良い経験ができているなと思います」と成長も実感している。

日本が初優勝を果たした18年U-20W杯フランス大会では浦和の同僚のDF南萌華とCBでコンビを組み、鉄壁の守備で最終ラインからチームを支えた。その南や、当時のチームメートで、この日、対戦した日テレのFW遠藤純やMF宮川麻都らは大会後にA代表へと定着した。高橋自身も19年10月の国際親善試合カナダ戦でA代表デビューを果たしたが、まだ定着したとは言い切れない立場。この日は、なでしこジャパンの高倉麻子監督も視察しており、今季初ゴールは絶好のアピール弾にもなった。

高橋は「もちろんA代表は小さい頃から目指していますが、そこにとらわれず自分自身を伸ばして、このチームで優勝したい」と力を込めた。コロナ禍で約4カ月遅れて始まったシーズン。来年からはプロ化されて始まるWEリーグも開始され、チームとしてなでしこリーグでプレーする最後の1年になる可能性は高い。「(コロナ禍で)思うように練習できない期間も見失わずに取り組めましたし、なでしこという形は最後かもしれないですが、優勝したい気持ちは消えていません」。浦和の躍進を支えながら、夢の代表定着も目指していく。【松尾幸之介】