スキマスイッチの常田真太郎(42)と3人組ロックバンドSHISHAMOが、引退する川崎フロンターレMF中村憲剛(40)に向けて書き下ろした楽曲「天才の種」が、27日から配信されることが決まった。

常田と中村はかねて親交があり、「いつか引退する時は俺が曲作ってケンゴのハイライト動画を作ってもらう」と話していた間柄。川崎市出身でファンを公言するSHISHAMOは、楽曲がクラブのチャントに採用されていた。

21日の中村の引退セレモニーでは、中村の歩みを紹介するVTRに合わせて「天才の種」がお披露目されていた。この映像は川崎Fの公式YouTubeチャンネルで公開される。

配信決定に際して、作詞した常田、作曲したSHISHAMOボーカルの宮崎朝子(26)、そして中村はコメントを発表。それぞれに対する熱い思いを長文でつづった。

◆中村憲剛コメント

このたび、スキマスイッチの常田真太郎さんとSHISHAMOのみなさんがタッグを組んで自分の引退セレモニーのために素晴らしい楽曲を作ってくださいました。しんたさん(常田)とSHISHAMOのみなさんが組んでいただくと聞いた時から完成を心待ちにしてました。セレモニーで流れたVTR、イントロが流れ出した瞬間からそれまで我慢していた涙が止まりませんでした。そして、スピーチでも話しましたが、それまで人ごとのように感じていた自分の引退がこの楽曲を聞いたことで一気に現実のものになりました。

音楽は人の心を動かす力があります。この「天才の種」からしんたさんとSHISHAMOのみなさんの自分への想いを感じて、心が震えました。セレモニーに来てくれた人、LIVE配信を見てくれた多くの人から「あの歌すごい良かったよね」と言ってもらえました。自分のことのようにうれしかったです。それと同時に、より多くの方にこの楽曲を聞いて欲しい、そして届いて欲しいなと思いました。

それが今回実現することになり、本当にうれしく思っていますし、実現に向けて動いてくださった多くの方に心からの感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。この素晴らしい楽曲を自分のために作ってくれたこと、それをその場だけの物にせず多くの人に届けようとしてくれたことがとてもうれしいですし、自分は本当に幸せ者です。

みなさんがこの楽曲を聴いて、それぞれがそれぞれの天才の種を育てて大きくして欲しいと思いますし、この楽曲がみなさんにとっても大切な一曲になることを願っています。

◆常田真太郎コメント

9月末あたりに入ったくらいにケンゴ本人から引退の報告を受け、そのすぐあとに川崎フロンターレから正式に楽曲制作のオファーをいただきました。昔、引退などまだまだ先の頃に「いつか引退する時は俺が曲作ってケンゴのハイライト動画を作ってもらう」と話してたことがついに現実となり、そこで本当にケンゴは引退するんだなと実感しました。ただ、せっかくならフロンターレに縁のあるミュージシャンと一緒に作ってセレモニーをより盛り上げたいと思い、後輩でもありフロサポ仲間でもありまたサッカー仲間でもあるSHISHAMOの3人にオファーしたところ快諾してもらい、この4人での楽曲制作となりました。

制作にあたってはやはりまず第一にケンゴが喜んでくれること、そしてケンゴ以外の人が聴いても受け入れてくれるような楽曲がいいなと思い、目線自体はケンゴ自身ということで描いてみました。キッカケみたいなものはこちらだとしてもメロディーの主導権は朝子ちゃんに委ね、僕は歌詞の方で主導権をとらせてもらいました。中でも歌詞を書くにあたってはケンゴ本人にリサーチして事実関係などを確認しながら書いていくスタイルにしたのですが、そのような書き方は初めてで、かなり興味深い作業になりました。

松岡ちゃんの正確なビート、よっちゃんの力強いリズムに朝子ちゃんのロックなギターと叙情的で素晴らしい歌、それに弦一徹さん率いる14人ものストリングスのアンサンブルが絡む豪華なサウンドに仕上がったこの「天才の種」を、ケンゴを始め聴いてくれた皆さんが末永く愛してもらえたらと思います。

このたび急きょ配信が決まったこと、ものすごくうれしく思っています。キッカケはもちろんケンゴ一人のために作ったとこからスタートしていますが、それがどんどん広がっていくことはケンゴ自身も希望してくれていて、あのセレモニー会場の等々力で、またDAZN配信でじっと動画を観てくれた方がまたあの時を、そしてケンゴのキャリアを思い出してくれたら作者冥利(みょうり)につきます。

ただ、セレモニーの時のコメントでは本人を前にうまく言葉がつなげず伝えたいことの半分も伝えられませんでした…。数々の逆境をいつも跳ね返し、その姿を隣で見て常に勇気と刺激をもらってきましたが、とにかく大変なことになった20年すらも図らずもあんなにも素晴らしい引退セレモニーで締めくくらんとする中村憲剛は心底すごい存在だと思いました、ということはここで伝えておきたいです。

◆宮崎朝子コメント

10月の中旬にしんたさんからマネジャーに連絡を頂いて、まず憲剛選手がフロンターレを引退するという話を聞きました。信じられないという気持ちのあとに、サポーターとしてとても寂しい気持ちになりました。そして一緒に楽曲を作ろうという話を受けました。やるならSHISHAMOに声かけるしかないだろう!ということで声をかけてくれたそうで、とにかくそのしんたさんの気持ちがうれしかったです。

ただ、私は今まで一度も共作をしたことがなかったので、とにかく何も分からない状態でしんたさんのスタジオにお邪魔して、ほぼ音楽の授業のような時間を過ごさせていただきつつ、さまざまなアイデアを出し合って曲が出来ていく過程は、とても実りのある時間でした。いろいろ勉強させていただいて、こんな機会をいただいて、しんたさんにもフロンターレにも憲剛選手にも感謝しかありません。そして何より最高の楽曲が完成したので、あとは誰かの大切な曲になってくれたらうれしいです。