川崎フロンターレが初のシーズン2冠を達成した。ガンバ大阪との決勝戦を制してクラブ初の天皇杯を獲得し、最速で決めたリーグ優勝とあわせてクラブ初の複数タイトルを手にした。 決勝戦で生きたのは、4年前の苦い経験から得た教訓だった。

16年シーズンの天皇杯決勝。川崎Fはクラブ初タイトルに向けて並々ならぬ意欲で望んだが、勝つための戦いを熟知する鹿島アントラーズに延長戦の末に敗れた。鬼木監督は「(勝負を分けたのは)一瞬の隙のところだと思う。あの試合に限らず、ずっと感じていた。勝負強いチームとやったときは、我慢強さや隙が顕著に表れる」と鹿島との差を痛感した。反省を生かして挑んだ翌17年シーズンのリーグ戦では、最終節を前に首位鹿島と勝ち点差2の2位につけていたが、最終節で引き分けた鹿島に対して、川崎Fはきっちりと勝って逆転初優勝を収めた。

この日も攻める川崎F、守るG大阪と、互いに隙を見せない戦いが続いたが、勝負を分けたのはやはり一瞬の隙だった。後半10分、FWレアンドロ・ダミアンのスルーパスに一瞬反応が遅れた相手DFを尻目に、MF三笘はGKの逆を突くシュートで均衡を破った。

引退するMF中村はベンチで優勝を見届けた。試合前には「隙の突き合いになると思う。水を漏らさない、集中を続ける。ミリ単位の戦いになると思う」と話していた。たかが一瞬、されど一瞬。真の勝負強さを発揮した川崎Fが、中村の現役ラストマッチに花を添えるタイトルでシーズンを締めくくった。【杉山理紗】