仙台は東日本大震災から10年を迎える節目のホーム開幕戦で、王者川崎Fに1-5で大敗も、最後まで戦う姿勢を貫いた。前半に4失点と苦しい展開だったが、後半は盛り返して互角の戦いを演じた。J2磐田から期限付き移籍で入団したMF上原力也(24)が、0-4の後半13分に加入後初ゴール。8季ぶり復帰の手倉森誠監督(53)は、13年12月22日の天皇杯準々決勝東京戦(1-2で敗戦)以来、2631日ぶりにユアスタに帰還した。

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最後まで諦めなかった。新型コロナウイルスの影響で入場者制限はあるもののチケットは完売。9005人のサポーターがホーム開幕戦を見守った。4点を追う後半13分、新加入の上原が意地を見せた。左サイドの気田に長いサイドチェンジのパスを送ると、ボールを受けた気田はグラウンダーのクロスをゴール前へ。マルティノスがシュートを放ち、最後はDFに当たったこぼれ球をこの攻撃の起点になった上原が右足で押し込んだ。

震災から10年の節目。開幕2戦目で川崎Fと対峙(たいじ)するのは4位と躍進を遂げた11年と同じストーリーだった。上原は「この1戦が仙台にかかわる人たちにとって大事な1戦だと身にしみて感じていたので残念」と悔しがった。

昨季はコロナ禍による特例のシーズンとなり、J2への降格はなかったが、18チーム中17位。さらに、ホームでは一年を通じて勝利を挙げることはできなかった。1年3カ月ぶりのホーム白星を目指したが、この試合では王者・川崎Fに圧倒的な差を見せつけられた。それでも後半は相手を上回るシュート7本を放ち、最後まで戦い抜く姿勢は示した。

今季チーム主将を務める蜂須賀は「震災から節目の10年の復興マッチで、相手は川崎で、最高の舞台だと思っていた。勝った、負けたでは天国と地獄が変わるぐらい人生が左右されると思って臨んだ。結果は1-5で歯が立たなくて、震災で亡くなったサポーターの方がたくさんいると思いますが、その人たちのことを思うとやってはいけない試合だった」と振り返った。次戦は10日にアウェー鳥栖戦。王者に大敗した悔しさをぶつけ、今季初勝利を次こそつかみ取る。【山田愛斗】