TBS系「スーパーサッカー」(日曜深夜0時50分)が28日、最終回を迎える。27年半続いた人気番組で、通算1368回目の放送となる。

日刊スポーツでは、19年4月から番組を担当する御法川隼斗プロデューサー(P)にインタビューを実施。スタッフらが選んだ「名物企画ベスト3」と、その裏話を紹介する。

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◆3位「ぜんぶ見る大作戦」

19年2月スタート。過去の試合映像を文字通り全部見て、チームの傾向や特定のランキングを割り出すというもの。「歴代得点王はFW大久保嘉人だけど、歴代アシスト王は誰も知らないのでは?」という、番組スタッフの素朴な疑問から始まった。

19年シーズンの開幕特別企画として、労働時間内に収まるよう準備期間を逆算し、4カ月前から調査を開始。スタッフ約15人で公式記録と照らし合わせながら、26年分のJリーグ全試合映像をチェックした。

結果、歴代アシスト王はMF遠藤保仁で、2位は昨季引退した中村憲剛氏、3位はMF中村俊輔だった。企画開始後にスパサカ担当となった御法川Pは、「『本当に見ているの?』と言われることが多いですが、プロデューサーになってびっくりしたのが、本当に全部見ていたんです。人出も時間もかかるけど、1つ1つチェックしています」。

 

◆2位「ボレーの虎」

元日本代表FW小倉隆史氏(47)の人気コーナー。現役選手とのボレーシュート対決で、より多くゴールに決めたほうが勝ち、というもの。番組内で唯一DVD化された人気企画で、クラブのファン感謝祭などで実施されることもあった。

実は「ボレーの虎」開始前、たった1回で終わった幻の企画「ボレーキング」があった。さまざまな角度からのボールにボレーシュートで合わせるというもので、初回は鹿島アントラーズが挑戦し、昨季引退した内田篤人氏が1位になった。しかしイマイチ盛り上がりに欠け、小倉氏との対戦形式の「ボレーの虎」に着地したという。

 

◆1位「バナナキング」

今年1月、Jリーグ公認企画として14年ぶりに復活した。かつては、バナナ形のバルーンを“壁”に見立ててFKを行い、どれだけ曲がるシュート(バナナシュート)を放てるか競う企画だった。復活にあたり、ゴール内の6つのパネルをバナナFKで打ち抜く企画にリニューアル。MC加藤浩次(51)のアイデアを受けて、6番のパネルの中に極小の「7番」パネルが設けられ、これを当てた選手には「バナナ1年分」の副賞も用意された。

復活第1弾の挑戦者は中村俊輔。14年前と比べて、バナナがマイナーチェンジしたことをいち早く見抜くなど、選手にとっても印象深いコーナーとなっているようだ。

御法川Pは「復活の放送直後、FC東京や浦和レッズの槙野智章選手など、多数の出演希望を頂きました。日本サッカー協会の田嶋会長や日本代表の森保一監督も、チャレンジしたいとおっしゃっていると伺っています」。

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番組制作にあたって最も心掛けたことは、クラブや選手へのリスペクトをもつことだという。御法川Pは「サッカーを知っている人もうなる番組づくりを目指した」と話す。

ライト層向けの企画も多かったテレビ朝日系「やべっちFC」(昨年9月終了)に対して、“スパサカ”はとことん競技を掘り下げることで、コアなサッカーファンの心をつかんだ。

前述の「歴代アシスト王」がその最たる例。また独自の映像を撮影しようと、多いときは1日6会場にスタッフを配置し、中継にはのらない映像を撮影した。

試合中の指揮官を追う「監督マークカメラ」はコアなサポーターに人気で、ゴールが決まっても喜ばない清水のロティーナ監督、芸人ばりのリアクションを見せる大分の片野坂監督などが話題になった。

MC加藤のサッカー愛も、番組を支えた。採用されたアイデアも多かったといい、御法川Pは「サッカーがただ好きなだけではなく、関係者へのリスペクトがものすごく強い方。番組作りに妥協がない。僕も加藤さんと仕事をさせてもらったことで、好きだったサッカーがさらに好きになった」と話した。

28日の最終回では“歴代アシスト王”の遠藤保仁が「バナナキング」に挑戦する。日本を代表するFKの名手は、番組のフィナーレを飾ることができるのか。