高校年代最高峰の高円宮杯U-18サッカープレミアリーグ(東西2リーグ制)が3日に開幕する。東北勢では青森山田が同リーグEASTを主戦場に、4日の浦和ユース戦(埼玉・浦和駒場スタジアム)からホーム&アウェーでの全18試合を1位で駆け抜け、東西王者が日本一を決めるファイナル進出を目指す。主将でU-18日本代表候補のMF松木玖生(くりゅう=3年)は「プレミアリーグで全勝する」と力強く意気込んだ。【取材・構成=山田愛斗】

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青森山田が日本一へと突き進む。2年時から背番号「10」を背負う松木は「ゴール前に行く姿勢を強く持って、ぶれずに得点を狙っていきたい」と強豪ぞろいの大会でチームを勝利に導く。19年のプレミアリーグで優勝。昨年は2連覇を目指すはずだった。しかし、コロナ禍の影響で同リーグが中止。代替大会形式で開催されたスーパープリンスリーグ東北で圧倒したが、悔しさが残るシーズンになった。今季は2年分の思いを込めて戦う。

前年度の全国高校選手権は19年度に続いて準優勝だった。山梨学院との決勝では2-2からのPK戦の末に敗戦。それでも、当時2年生だった松木、MF宇野禅斗、MF小原由敬、FW名須川真光(いずれも3年)が初戦から決勝まで5試合すべてで先発出場し、松木が2得点、名須川が3得点と躍動した。MF藤森颯太(3年)も途中出場ながら2アシストをマーク。中盤から前線は昨季の主力が残るが、守備陣はGKを含め、DFラインのレギュラーが抜け、新戦力台頭が求められる。

松木 チームの経験値としてはものすごく低いが、選手権を経験している選手は多い。自分だけでなく(宇野)禅斗とか藤森も中心としてやってくれているし、心配は少しあるけど楽しみな部分が大きい。

 

1年時から主力の松木が「自分以外はいないと思った」と新主将に就任した。これまでも物おじせずにリーダーシップを発揮していたが「今までは先輩がいて楽にプレーできていた部分はある。最上級生、キャプテンとして個人だけでなくチームに目を配りながらやりたい」と覚悟を口にする。

プレミアリーグ、全国高校総体、全国選手権が高校3大タイトルだ。同リーグは今月から12月まで9カ月をかけて行われ、高体連(部活)とJリーグクラブの下部組織が参戦。松木は「まずは一戦必勝で常に勝っていけば3冠とかも見えてくる。すべての試合に勝つことを心がけたい」。同リーグEASTは青森山田、市船橋、流通経大柏(ともに千葉)の高校勢3チームと浦和、大宮、柏、東京、横浜、横浜FC、清水のJリーグ勢7チームの計10チームが東の王者を争う。

松木 自分たちは実力とか個の能力ではプレミアリーグの中では劣っているので、チーム力で戦いたい。長所を持った選手が多いので、それを生かしながら自分が常にリーダーシップを取って、Jユースが多いけど、勝てる自信はある。

全国選手権後の1月下旬から2月上旬にかけて2週間、フランス1部リヨンのU-19とセカンドチームで武者修行を行った。初日のみU-19の練習に参加し、2日目以降はセカンドチームに加わり、試合にも出場した。「平均的なプレーはできたが、目立つプレーはできなかった。全体的に身体能力が高く、セカンドチーム初日の練習では100%で(相手に)当たったつもりが全然びくともせず、すごいなという感覚もあった」と洗礼を受けた。それでも将来的な海外挑戦に向けて貴重な経験を積んだ。

青森山田は過去5大会の同リーグEASTで19年1位、18年2位、17年3位、16年1位(日本一)、15年2位と好成績を収めてきた。

松木 すごく他のチームが強いと聞いているので、同年代として負けてられない。過去は上位に食い込んでいるので、優勝を目指しながら1戦1戦、ホームとアウェーで気を抜かずに自分たちのサッカーを確立して勝っていきたい。

東北の横綱が高校年代最強を証明する。

◆松木玖生(まつき・くりゅう)2003年(平15)4月30日生まれ、北海道室蘭市出身。幼稚園年長時にサッカーを始める。室蘭大沢FC U-12-青森山田中-青森山田。179センチ、75キロ。利き足は左。家族は両親と兄。血液型はA。好きな選手はマンチェスター・シティーMFフィル・フォーデン。