降格圏18位J1大分トリニータ片野坂知宏監督(50)が、勝ち点2差で追う残留圏16位徳島ヴォルティス戦(23日、鳴門大塚)の必勝を期した。

大分市内で練習後、オンライン取材対応。勝てば、17位湘南ベルマーレの結果次第では降格圏脱出の可能性がある大一番を前に「これまで通りいかに集中力を切らさず、90分タフに戦えるかが大事になってくる。ポイント(勝ち点)を必ず持って帰りたい」。前回2月27日開幕戦に1-1で引き分けた相手に闘志を見せた。

「外国人も日本人も質の高い選手がいて(攻撃時に)スペースや時間を与えるとやっかい」と警戒するボールを保持しパスを回すポゼッションサッカーに対して、復調気配の守備力で「先に失点したくない。守備の原則を切らさず、失点0に抑えたい」と耐え、虎視眈々(たんたん)と得点チャンスもうかがう構え。

3バックのCBを務めるDFエンリケ・トレヴィザン(24)が「フォワードからディフェンスを含め、コンパクトに締めどころで全員で守備ができていることが大きい」という、強みの組織守備から流れをつかみ対抗する。

0-3で完敗した4月11日名古屋グランパス戦で9試合目にして降格圏に転落。7連敗などもあり一時最下位にも沈んだ。

片野坂監督はJ3当時の16年から大分を指揮。GKからのビルドアップで前線に人数をかける攻撃的なチームに育ててきた。

だが、危機的状況には勝てなかった。コツコツ積み上げてきたスタイルだったが、就任6年目で初めて8月9日川崎フロンターレ戦から変更。前線プレスでボールを奪い、全員が連動するショートカウンターなど「守備重視」から流れをつくる“荒療治”で打開策を練った。

劇的な変化は出ていない。だが、直近5試合1失点で、ここ2戦は今季初の連続完封勝利。現在J1ワースト23得点の決定力不足だが、守備が安定してきたことは光明だ。【菊川光一】