浦和リカルド・ロドリゲス監督(47)の「血の改革」が、チームを循環させた。就任1年目で、初のタイトル。「スタイルを変えていきながら、クラブの目標を達成できた」と自信に満ちた表情で、頂点の味をかみしめた。

「横綱」流のふんどしの締め方を変えた。決勝のスタメンには昨季までJ2琉球のMF小泉を2列目に置き、左サイドバックには昨季までJ2栃木のMF明本を据えた。ベンチには今季途中、J2水戸から加入したMF平野がスタンバイした。

これまでの浦和は実績ある名のある選手の獲得、起用が常だった。ロドリゲス監督の方針は違った。「ハングリー精神、野心を持った選手が必要」。無名であろうが、カテゴリーも関係なかった。クラブ内では「大丈夫か?」という声が一部で上がり、他クラブの関係者も「浦和らしくない」と驚いたが、信念を曲げることなく、一蹴してみせた。

名より実を取る。17年から徳島の監督を務め、昨季はJ2優勝で、J1昇格を果たした。まだ日の目を見ていない選手を、その目で見てきた自負があった。そして団結力、規律を重んじてきた。だからこそ、今春キャンプで規律違反があったMF柏木(現J3岐阜)について「受け入れがたい」と厳しい姿勢を示した。元日本代表MF、浦和の「10」を背負ってきた男に“恩情”をかけることはなかった。

全ては「浦和はアジアのビッグクラブで在り続けなければいけない」という強い思いがあるから。だからこそ、世代交代も推し進めた。心を鬼にし、長く浦和を支えてきたMF宇賀神、DF槙野に対して、来季の契約を更新しない決断も下した。名門であるため、決断を続けたスペイン人指揮官。浦和の赤き血を循環し、強いレッズを描き続ける。【栗田尚樹】