尚志(福島)がついに「鬼門」を突破した。0-0からのPK戦を4-3。瀬戸内(広島)を破り、4強入りした18年度以来3大会ぶりの1勝をつかんだ。18、19年度の選手権、今年の全国高校総体、プレミアリーグ参入戦と、大一番はPK戦で敗退してきた。後半終了間際に投入された2年生GK布川陽大が、PK2本を止める職人ぶりを発揮。U-22日本代表のDFチェイス・アンリ(3年)も超高校級の存在感を示し、スタンドを何度も沸かせた。羽黒(山形)は先制も、岡山学芸館に逆転負けし、山形県勢は15大会連続初戦敗退。専大北上(岩手)は奈良育英に、秋田商は東福岡に敗れた。

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ニューヒーロー誕生だ。PK戦が苦手な尚志をGK布川が救った。先行は瀬戸内。「来い!」。1人目のキッカーが蹴る前に気合を入れ、右に飛んでセーブ。尚志も1人が失敗し、3-3に並ばれた直後にも「来い!」と強気に左へ飛び、5人目をストップした。最後はDF高橋翔大(3年)が冷静に蹴り込み、歓喜の輪ができた。「感覚で止めました」と布川。「自分はPKキーパーの立場なので、役割を果たせてうれしいです」。後半40分からの出場で大仕事をした。

以前とは正反対のポジションだった。小学4年ごろからGKを始め、中学までは「自分の後ろにPKキーパーがいる立場でした」。選手権の舞台で正GK鮎沢太陽(2年)の後を受け、キッカーの表情、助走を冷静に見極めて結果を残した。仲村浩二監督(49)はPK戦の最中は目をつぶり「記憶がないような形でした」という。それでも、練習で一番止めている布川への信頼は厚く「彼に2本止めれば勝てると伝えていた。その通りに2本止めてくれて良かったです」と安堵(あんど)感をにじませた。

アンリもPK職人ぶりを発揮した。公式戦で失敗はゼロ。今夏の全国高校総体、今月のプレミアリーグ参入戦と、PK戦で敗れた試合でも先頭で成功させ、この日も同様に決めた。「自分が一番自信を持っているし、最初に決めた方がカッコいいじゃないですか」。PK練習を毎日積み重ねてきたからこそ自信がある。さらに、対人プレーで無双。正確なロングフィードでも起点になり「1年の時とは違って3年なので、最後は勝ち切らないといけないと思っていた。勝てて良かったです」と力を込めた。

31日の2回戦は開幕戦を6得点の大勝で勢いに乗る関東第一(東京B)と対戦する。初戦はシュート11本で無得点、PK戦による辛勝だったが、全員で成長しながら福島県勢初の全国制覇に挑む。【山田愛斗】

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