カズの父の納谷宣雄氏(79)が11日、日刊スポーツの取材に応じ、その決断に理解を示した。昨季は不完全燃焼で終わり「最後、燃え尽きたいのではないか」と想像する。15歳で単身でブラジル留学を決めた息子の背中を押し、そのサッカーを見続けてきた父。JFLでのプレーは予想していなかったが、鈴鹿に足を運び、兄弟の雄姿を見届けるつもりだ。

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納谷氏は55歳になる愛息のJFL鈴鹿の挑戦に、エールを送った。カズが40代のころ「いい加減、やめたらどうだ」と言い続けてきたが、ここ数年で考えが変わった。「ここまできたら、自分の人生だから、自分の好きなようにやればいいと考えが変わってきたよ(笑い)。あいつがやりたいと言うなら、やればいい。そう思うようになった」。

昨季の出場時間は1分。15歳からカズを見守ってきた父は、カズの悔しさを理解し、挑戦の理由が分かっていた。

納谷氏 中途半端になっちゃってたから。自分が調子いい時、試合に出られないし。自分がどれぐらい出来るかというのも分からなかったでしょう。燃え尽きてないんだよ。自分でもう一度、力いっぱいやってみたいと。自分が燃え尽きてやめたいという心があるんでしょう。昔はJFLまでやることはないと思ってたけどね。でも、それがあいつの人生だから。

監督は兄の泰年氏。兄弟とはいえ、勝負の世界はシビアなのも理解している。「泰年がどのように使うかは、知良の練習を見て決めるでしょう。1試合は無理でも、何分やれるかよく確かめて。サッカーの場合は20分でも必要な選手がいるから」。

JFLは練習環境も、Jクラブから見れば整っていない。だが、カズはブラジル時代に、長距離のバス移動のほか、寝床にのみが出て眠れなかったり、タンパク質が寂しいメニューが多かった食事も経験している。「ブラジルのことを思えば、知良は慣れてるだろうから」と太鼓判を押す。

昨季は鈴鹿の試合に何度か足を運んだ。兄弟タッグに特別な思いはないと言うが「JFLもレベルが高いから、大変だよ。2人一緒にいるから見る方が楽だよ」と試合を心待ちにしている。