J2リーグの開幕戦で、衝撃のゴールが生まれた。

20日に岡山・シティライトスタジアムで行われた、ファジアーノ岡山-ヴァンフォーレ甲府戦。岡山が2-1とリードして迎えた後半7分に、度肝を抜かれる一発があった。

岡山陣内で甲府がゆっくりとボールを回しながら、チャンスをうかがう。最終ラインから中盤へ縦パスが入った瞬間だった。甲府の選手がワンタッチではたこうとしたところを、岡山のブラジル人FWチアゴ・アウベス(29)がプレスをかけた。ボールは前へこぼれる。それを見逃さず、自陣から左足で思い切りロングシュートを狙った。

風に乗った球は、ぐんぐん伸びる。きれいな軌道を描きながら、甲府GK河田の指先を超えてゴールに吸い込まれた。

圧巻の推定60メートル弾。まるで漫画のような“ドライブシュート”を目撃した会場は、ため息のような大歓声に包まれた。

「前半からGKが前掛かりになっているのが見えていたんだ。前半のシュートは滑ってしまったけど、後半にもう1回狙ってみた」

そう語ったアウベスは、2得点1アシストの大活躍だった。

前半42分にペナルティーエリア内でボールをキープして、早大卒のルーキーMF田中雄大(22)のプロ初ゴールをアシスト。超ロングシュートの4分後となる後半11分には、ゴール前で冷静に右足で決めた。

「(2点目は)ボールが来た時からGKの位置を見ていた。利き足ではない右足のシュートは難しいと思ったけど、決めることができて良かった。私は岡山をJ1に昇格させるために来た。開幕戦、勝利を飾ることができて良かったよ」

鳥栖に所属した20年は、フェルナンド・トーレスが背負った9番を受け継ぎながらJ1リーグ戦で3得点。昨季はG大阪で2得点に止まり、1年で契約満了になっていた。

開幕戦を4-1で勝利した岡山にとっては、節目のホーム通算100勝目。昨季、コーチとしてG大阪をJ1残留に導き、今季から岡山の指揮を執る木山隆之監督(50)は「今まで歴史を築いてくれた監督、選手がいる中での99勝。僕はまだ1勝。(今後も)たくさん勝って、J1に昇格できるようにしたい」と語った。

観衆を魅了したブラジル人助っ人に、経験豊富な木山監督が率いる岡山。J1昇格争いに加われるか。楽しみな存在になりそうだ。