東京オリンピック(五輪)代表のMF堂安律(23=PSV)と元Jリーガーの兄憂さん(26)が、このほど共同運営でサッカースクール「NEXT10 Football Lab(ラボ)」を立ち上げた。

4月から兄弟が生まれ育った兵庫・尼崎市内に開校予定。場所はJR尼崎駅に隣接する大型ショッピングモール屋上で、兄弟でフットサルコート(愛称はRDフィールド)を完成させ、幼稚園児から小学生まで約100人に指導していく。

欧州でプレーしている堂安は直接指導こそできないものの、代表を務める憂さんと2人で、毎週のテレビ電話で練習メニューを考案したという。

3月19日に開校記念イベントを行い、憂さんが取材に応じた。J3AC長野パルセイロなどでプロ生活を過ごした兄は「僕と律の思いは正直、実現できるとは思っていなかったが、こういうふうに実現できた。すごく楽しみです」と笑顔を見せた。

実際に試合を行う従来のサッカースクールが“学校”とすれば、堂安兄弟のスクールは子どもの実力や性格に合わせ、1対1のきめ細かい指導が中心になる“学習塾”の位置付け。

「サッカーの技術面はもちろんだが、僕と律が感じたことは、サッカーをする上で人間力がすごく大切だということ。あいさつがきちんとできる人が人からも好かれる。プロ選手になれば、サポーターがいる。その人たちに好かれる選手でないと、活躍できないと(自身のプロ生活で)感じていたんです」

憂さんは日本代表に上り詰めた弟と自身の実力差、体験談も、子どもたちに還元したいという。

「僕と律にも差があるわけで、なぜ律があそこまで行けたのか。なぜ僕が行けなかったのか。この差は何が足りなかったのかは、僕が一番伝えられる」

例えば兄弟ともに野菜嫌いだったが、堂安は小学生の時に克服。体の強さ、大きさが変わっていったという。朝の起床時間も少しだけ弟の方が早く、ちょっとした時間の積み重ね、使い方が生涯では大きな違いを生み出すとも痛感した。

そんな実体験を伝えつつ、堂安兄弟が得意だったドリブル、ピッチ上での駆け引きなど、実際に用いる技術指導を行う。

スクール名の「NEXT10-」は、将来の背番号10を育て、堂安自身も東京五輪に続き、日本代表でも10番を背負いたいという思いを込めた。

大阪市に隣接する尼崎市は、人口約46万人で中核市にも指定される。その関西の要所で堂安兄弟の夢の挑戦が始まった。【横田和幸】