アルビレックス新潟はアウェーで熊本に2-1で逆転勝ちした。2試合ぶり勝利で順位は11位から5位に浮上した。1-1の後半アディショナルタイム、後半途中出場のFW鈴木孝司(32)がDF田上大地(28)からの右クロスを頭で合わせた。0-1の前半21分には敵陣で相手からボールを奪ったFW谷口海斗(26)が“古巣”ゴールにロングシュートをたたき込み、チームに勢いをもたらした。中3日で続いた3連戦ラストで勝ち点3を積み上げ、次節10日、ホームに栃木を迎える。

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最終盤にピッチに投入されたベテランFWが、登場からわずか8分で大仕事をやってのけた。1-1で迎えた後半45+2分、GK小島亨介(25)のロングキックに抜け出した田上が右サイドから中央に折り返すと、ファーサイドで待ち構えた鈴木がヘディングでネットを揺らした。試合を決定づける今季初得点。ゴール後は胸のエンブレムを握りしめ、新潟サポーターの元へ一目散。「コジ(小島)がキックする瞬間、(田上)大地が裏に抜けるのが見えた。勝利に貢献できてうれしい」と涙で声を詰まらせた。

鈴木は後半39分から途中出場だった。アップ時にはピッチ脇で熊本守備陣の穴を冷静に分析し、イメージを膨らませていた。「(試合が)オープンな状況になりチャンスは来る、と思っていた。(得点は)相手と逆の動きをして、捕まりにくい位置に入ることを意識した」と振り返った。

先発出場した今季開幕の仙台戦(2月20日)の後半に相手と接触して負傷交代。以降は別メニュー調整が続き、3月15日からランニングやボールを扱うメニューを再開。同月22日に部分合流し、この日、今季2度目の試合メンバー入りを果たした。「ケガで貢献できなかった。ゴールでチームを助けることしか考えていなかった」。

開始早々の前半4分にハイラインの裏を突かれる形で先制点を献上。その後も押し込まれたが、同21分の谷口の同点ゴールで息を吹き返すと、後半は攻撃的な選手を次々と投入して試合を支配した。決勝点を挙げた鈴木に対し松橋力蔵監督(53)は「長い期間、ケガで苦しんだが努力を続けた。それが詰まったゴールだった」と自分のことのように喜んだ。

ケガからの完全復活を印象づけた鈴木は「(開幕ダッシュに成功した)昨年に比べると成績は良くないが、選手は誰も(J1昇格を)諦めていない。1戦1戦、チームとサポーターが一団となって戦いたい」と言葉に力を込めた。

○…試合前日の2日に、20年に在籍した古巣熊本(当時J3)への“恩返し弾”を誓っていた谷口が、有言実行のスーパーゴールを決めた。0-1の前半21分、敵陣で相手ボールを奪うとすぐにルックアップ。飛び出したGKの頭上を越える約35メートルのコントロールショットを沈めた。昨季の第35節ホーム秋田戦(21年10月23日)でハーフウエーライン付近から決めた約50メートルの超ロングシュートを再現したかのような一撃だった。