開幕から不振が続いたヴィッセル神戸は、新監督をスペイン人のミゲル・アンヘル・ロティーナ氏(64)に託すことになった。

これまで約5年間、Jリーグで指揮経験がある同氏は、守備の構築が得意だ。

昨季の清水エスパルスでは戦術の浸透に時間がかかり、11月に途中退任となったものの、セレッソ大阪では19年に5位、20年に4位に導いた。守備を重点にしながらも鋭い攻撃を駆使する、安定感あるサッカーが真骨頂。J1残留を確実にするためにも、神戸は手堅い選択をしたといえる。

ロティーナ氏は、母国を中心に30年以上の指導者生活で、ほとんどが中規模以下のクラブでキャリアを積んできた。

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C大阪在任時には「いい車を買っても、よい整備をしないとだめ。いくらいい選手と契約しても、環境を整え、教育をしないと最大限の力は発揮できない。高級車を買って整備しないよりは、普通車を買って整備する方がいい」と、指導哲学を披露したことがある。与えられた戦力に正面から向き合うのが信念だ。

今回はJリーグ屈指のビッグクラブ、神戸での指揮になる。同じスペイン人の英雄MFイニエスタやFWボージャンら、スター軍団をどう操れるか。新たな境地への挑戦だ。母国スペインの関係者によると、本人は、神戸を指揮するにあたり「やるからにはタイトルを狙う」と、意気込んでいるという。

定評のある戦術面だけではなく、内に秘めた闘志は常に熱い。伸び悩む選手がいれば過去、こうアドバイスした。

「うまくなるには日々、いい練習をすること。そこに魔法はない。試合でのプレーを日々自覚すること。練習の中でミスをしない習慣をつけられれば、試合でもミスをする確率は減る。人生にはたくさんの難問があるが、ユニホームを着ればそれは横に置き、最大限の力を発揮するべきだ」

6月に65歳を迎える大ベテラン監督は、日本をリスペクトし、日本が大好きと公言してはばからない。近く来日し、健康状態に問題なければ、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)1次リーグも控えた神戸の再建に乗り出すことになる。