コロナショックに襲われた福岡が、値千金の先勝を飾った。敵地で神戸を2-1で下し、ベスト4進出に王手をかけた。前日2日に選手、スタッフら計9人が陽性判定を受けた。

最大7人の控え選手はGK2人を含むわずか4人。後半ロスタイムにはGK山ノ井をFWとして投入するなど、総力戦で勝利した。C大阪は小菊昭雄監督の陽性が川崎F戦前に判明。高橋大輔コーチが監督を代行した。京都はトップチームの選手6人、磐田は同1人の陽性判定を発表するなど、Jリーグの感染拡大が止まらない。

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まるで漫画のような秘策で福岡が、2-1でスター軍団神戸に先勝した。新型コロナウイルスの陽性者が2週間で選手らに計22人も出てしまい、この日のサブは上限の7人を下回る4人。うちGK2人という非常事態で臨んだ。

2点リードで迎えた後半49分、プロ6年目でJ1出場経験のないGK山ノ井拓己(23)が、フィールド選手のユニホームを着てFWで登場。既に2人のフィールド選手を交代で使い切っており、試合前のアップで長谷部監督から伝えられていた秘策だという。

5分程度の出場も前線で守備に走り、1失点こそしたが、急造FWは「目の前がくらくらした。体に乳酸がたまるのが分かった。限界だった」と振り返った。DF宮は「想定していたが、ぶっつけ本番だった」。

FWルキアンらの決定力で勝てたが、川崎F同様に控えのフィールド選手が2人だけという綱渡りの試合実施に、長谷部監督は「選手はけがと隣り合わせで、どうなってもおかしくない状態。リーグでも考えていただければ」と問題提起した。山ノ井も「こういう運営の中で試合をやるのはどうかと思う。Jリーグに訴えかけたい」。公式戦開催の下限人数13人というルールが再び、議論を呼びそうだ。【横田和幸】