<明治安田生命J1:札幌1-2鳥栖>◇第26節◇20日◇札幌ドーム

北海道コンサドーレ札幌FW興梠慎三(36)がJ1通算得点ランキングで歴代2位タイに浮上した。前半21分、MF小柏の右からのパスを左足ワンタッチで押し込んだ。J1通算474試合目の出場で通算161点目。歴代2位のFW佐藤寿人の記録に並んだ。

興梠は札幌で勝者のメンタリティーを注入している。右膝の手術から完全合流した6月。最近の若手について気になる点がある様子だった。「J1の順位表を見ても下を気にして、全然上を気にしていない」。まだシーズン半分も消化していない。その時点でチームは11位。首位やACL圏内に浮上するための勝ち点差ではなく、降格圏との差を計算している姿に、違和感を覚えた。

鹿島時代にJ1優勝3度経験し、浦和時代の17年にJリーグベストイレブンに輝いた男の発想は違う。「優勝するチームは下とか関係なく、上の順位を見続けて、上が勝ち点を取りこぼしたら『よしっ』ってなる」。

自身は離脱中で、もどかしさがあった。それでもチームのために自分ができることを探した。「変なプレッシャーを背負ってやっている選手が多いので、プレッシャーを払いのける一声が大事」と、積極的にコミュニケーションを図った。復帰してからも、プレーについて聞かれれば、アドバイスもした。20歳のFW中島にはポストプレーについて聞かれるという。

シーズン残り8試合。今季の優勝は現実的な目標としては厳しい。だが、興梠の視線の先は降格回避ではなく、1つでも上の順位を目指すための勝利しか捉えていない。だからゴールを狙う。通算161得点。勝者のメンタリティーが土台となっている。【保坂果那】