「J1昇格」へ、首の皮一枚つながった。ベガルタ仙台がホーム最終戦でロアッソ熊本に劇的勝利。負ければ“事実上の終戦”となった一戦を制し、プレーオフ圏内の6位に望みがつながった。1-1で迎えた後半ロスタイム。MFフォギーニョ(30)が右CKからヘッドで値千金の決勝ゴールをマークした。連敗を「3」で止め、約1カ月ぶりとなる白星を手にした。次節は23日、今季ラストゲームとなる秋田戦に臨む。

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「J1昇格」へ、執念の勝ち点「3」だ。試合終了のホイッスルが鳴り響くと、サポーターのボルテージは最高潮に。ミラクル勝利でホーム最終戦を締め、4連敗を阻止。プレーオフ圏内進出に望みをつないだ。9月に就任しホーム初勝利となった伊藤彰監督(50)は両拳を力強く握り、喜びを爆発させた。「選手が勝利ってところに執着を持ってくれたことに尽きます」と振り返った。

土壇場で見せた。1-1で迎えた後半ロスタイム。フォギーニョが主役の座を独占した。右CKからMF遠藤康(34)が精度の高いボールを入れる。これに頭で合わせ、ゴール左へ突き刺した。引き分けムードも漂う中、劇的すぎる幕切れ。フォギーニョは「あの瞬間をみんなで分かち合いたかった。幸せ」。スタンドには生後2カ月の愛娘の姿も。父としてこれ以上ない勇姿を届けた。

背水の陣だった。この一戦を落とせば、7位以下が確定し“事実上の終戦”の可能性もあった。前半4分にFW富樫敬真(29)が先制ゴールを奪うも、後半30分にはセットプレーから失点。同点に追いつかれるも、選手は最後まで攻める姿勢を貫いた。同35分にはFW中島元彦(23)が強烈なミドルシュート。惜しくもクロスバーに嫌われたが、勝利に対する執念をピッチ上で示し続けた。富樫は「いろいろなものがかかったホーム最終戦で、執念で勝つことができた」と胸を張った。

「運命のラストゲーム」となる。プレーオフ進出に残された枠はたった1つで山形、徳島との三つどもえ。最終節での勝ち点「3」が大きく命運を分ける。1年でのJ1復帰へ、最大の正念場を迎える。【佐藤究】

■最終節の結果次第

仙台のプレーオフ進出は最終節の結果次第。仙台が勝利すれば、徳島が引き分け以下で6位が確定。引き分けの場合、徳島が引き分け以下であれば得失点差で決まるが両チームの得失点差は「8」とかなり厳しい。負けた場合は最終節で対戦する徳島と山形の勝者がPO進出。引き分けの場合は徳島がPO進出となる。