サッカーJリーグの柏レイソルで工藤壮人さん(享年32)とともにプレーした栗沢僚一コーチ(40)が25日、柏市内での全体練習後に取材に応じ、工藤さんの思いを、指導者として後輩に伝えていく決意を語った。工藤さんは水頭症で集中治療室(ICU)で治療を受けていたが21日に帰らぬ人となった。

栗沢コーチは「1番の思い出は一緒にタイトル取ったこと。彼がゴールしてくれたおかげでそのタイトルがあると思っている」としのんだ。

工藤さんは、加入1年目はリーグ戦出場はわずか3試合だった。それでも、悲観的やマイナスな言葉を口には出さず、ひたすら、試合で得点を取るための練習を重ねてきた。「常にプラスに変えていく強さがあった。一緒にやってきた選手は、自分もやらなければと、すごく刺激をもらった。努力は裏切らないことが、見ていて分かった」。

現状に満足せず、試合でゴールという結果を出すためにたゆまぬ努力をしてきたのを間近で見てきた。試合に出られなくても、その情熱は変わらなかった。それが、工藤さんがレイソルに残してくれたものの1つだと感じている。「彼が残してきたものは間違いなくレイソルにある。試合に出られない選手が(練習を)やらないとか、絶対にないし。それは彼が残してきたもの。そういう彼がいたからこそ、今のレイソルがある」と、工藤さんがレイソルのDNAに刻まれていることを強調する。

続けて「彼と一緒にやった選手たちは、すごく勉強になったと思う。指導者になったが、彼みたいな選手のこと、そして、彼を見て自分が感じたことは伝えていかないとと思いました。残された人が責任を持ってやっていきたいし、僕としては伝えていかないといけない」と決意を語った。