全国選手権に出場する浜松開誠館は2-1で静岡学園セカンドに辛勝した。1点を追う前半にFW坂上輝(あきら、3年)が同点ゴールを挙げると、後半に途中出場のFW山口莉生(りく、3年)が決勝点。約1カ月ぶりのリーグ再開戦を逆転勝ちで飾り、首位を死守した。2位の藤枝明誠は5-3で帝京大可児に競り勝ち、優勝に望みをつないだ。

苦しみながらも、王者としての意地を見せた。浜松開誠館は前半11分に先制点を献上。浮足立っていた立ち上がりを狙われた。それでも、同15分に左サイドを崩し、FW坂上が右足で同点弾。試合を振りだしに戻すと、後半は切り札が勝負を決めた。

FW山口は後半27分から途中出場した。「勝つことだけしか考えていなかった」。ゴールが求められていた状況でピッチに入ると、ファーストプレーで仕留めた。同30分、中央でボールを受けるとエリア内に進入し、左足一閃(いっせん)。交代からわずか3分後に大仕事をやってのけ、「素直にうれしかった」と白い歯を見せた。

ただ、チームとしての課題も多かった。青嶋文明監督(54)は「起こり得る不具合がたくさん出た試合だった」と表情は硬かった。この日はチームの生命線でもある積極的な守備が鳴りをひそめ、後半は防戦一方。県選手権MVPのMF今井航(3年)も「優勝したことでどこか浮かれていた部分があったのかもしれない。今日ははっきり言って悪いゲームだった」と反省しきりだった。

それでも、勝ちきる勝負強さを見せつけた。リーグ戦は約1カ月間の中断を挟み、6連勝。今季も残り2試合で次戦は富士市立と対する。結果次第では優勝が決まる一戦に向け、今井は「今日の課題をしっかりと修正して、次は自分たちがやりたいサッカーを全うしたい」と表情を引き締めた。【神谷亮磨】