「女王奪還」への挑戦は、道半ばで散った。10大会ぶりとなる全国最多6度目の優勝を狙った常盤木学園(東北1位・宮城)は、十文字(関東1位・東京)に1-2で逆転負け。0-0で迎えた前半26分に先制点を奪うも、後半に2失点。決定機を生かすことができず、リードを守り切れなかった。1年間チームを引っ張ってきたMF高塚映奈主将(3年)は、この敗戦を糧に「世界で通用する選手になる」ことを目標に掲げた。

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試合終了を告げるホイッスルが鳴り響き、常盤木学園の選手たちは天を仰いだ。関東の名門、十文字に逆転負け。前半26分に先制するも、後半2失点。リードを守り切ることができなかった。MF高塚映奈主将(3年)は「優勝に向けて、十文字さんが1つのヤマ場だった。決め切るところで決められなかった」と肩を落とした。

「決定力」が明暗を分けた。後半、2度の得点機を演出するも、シュートがゴールの枠内を捉えられない。1-1の同31分には左CKから決勝点を献上。互角の勝負を演じたが、ワンプレーの差で2大会連続となる準決勝進出を逃した。高塚主将は「負けたことは悔しいけど、何もできずに負けたわけではない」と、やり切った表情を浮かべた。

1年間、主将として悩み、苦しみながらチームを束ねてきた。「人数も多く、個性が強かった。どう(チームを)まとめていけば良いのか大変だった」と振り返る。選手1人1人との対話に重点を置いた。意見を聞き、チーム内で共有し合う。時には、厳しく言うこともあった。「自分が決断したことに迷いを持たないようにした。信念だけはぶらさないことを意識した」。過去5度の優勝は全国最多タイ。伝統校の主将として、最後までチームを引っ張り続けた。

敗戦を糧にさらなる飛躍を期す。「将来は世界で通用するプレーヤーを目指したい」。日本一には届かなかったが、今後への確かな財産を手にした。【佐藤究】