北海道コンサドーレ札幌は18日、アウェーでサンフレッチェ広島との開幕戦を迎える。17日にはキャンプ地の熊本・大津運動公園で前日練習を実施。ヴィッセル神戸から移籍のMF小林祐希(30)は、自身7年ぶりのJリーグ開幕に静かな闘志を燃やした。開幕スタメンが予想される元日本代表が、01年以来22年ぶりのJ1敵地開幕戦勝利をチームに呼び込む。

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小林が広島戦に向けて、準備を整えた。前日練習はミニゲーム、セットプレーを確認。主力組のボランチでプレーし、最終調整した。チームの現状に納得はしていない。まだまだ向上する必要性を感じている。「満足いくようなものではなかったけど、みんな勝つために精いっぱいやってきたと思う。その結果、試合が終わってみて、どっちが笑っているか」。もちろん勝利だけを目指す。

17年からはオランダほか、海外でプレーしていた。昨季所属した神戸は途中加入。Jリーグで開幕を迎えるのは、16年磐田時代以来となる。「特に普段と変わりない」と感慨はなく冷静。「コンディション的には悪くないし、ベストを出せば勝てないこともない」と静かに集中した。

沖縄キャンプ中の1月19日、今季初実戦の練習試合(対J2町田)ではFKで得点を挙げた。だが、チームとしては、実戦勝利なしで開幕を迎える不安が漂う。そんな雰囲気も「考え過ぎないこと」と一蹴。プレシーズンの結果に一喜一憂しない大切さを説いた。本番は本番だからだ。

毎年、新加入選手はペトロビッチ監督流のサッカーに慣れるまでに時間を要する。昨季主力に成長した札幌3年目のDF岡村もMF青木も、1年目は開幕戦で出番はなかった。小林の存在が、札幌に今季、新たな息吹をもたらそうとしている。

開幕前1週間は、選手間ミーティングを行うなど、対話を重ねてきた。「どんなに話してもピッチでかみ合わなかったら意味がない」と、きっぱり言い切るが、思いを伝え合い、結束を求めた。「ピッチで戦う姿をみんなは見に来ると思う。言葉より結果で証明できれば」。新加入会見で掲げたのは、19年以来遠ざかる日本代表復帰と、そのためにも必要なチームにとっても自身にとっても初のタイトル獲得。小林の目標達成を目指すシーズンが始まる。【保坂果那】

■「ハードなゲームに」ペトロビッチ監督

コンサドーレ札幌ペトロビッチ監督(65)の6年目がスタートする。自身のケガや新型コロナウイルスの隔離期間によって、直近2年はキャンプ初日に不在だったが、今年は3年ぶりにスタートから現場で指導。だが、チーム内でインフルエンザが流行したり、ケガ人が出るなど「なかなか思うように自分たちが計画してきたキャンプのメニューを消化しきれなかった」と振り返った。

開幕戦に向けたチームの仕上がりは100%まで持っていけなかった。昨季から入れ替わった戦力で、ベースづくりには予定よりも時間がかかったからだ。W杯カタール大会の影響で例年より昨季終了が早く、オフが長かったことで、「影響があったのは確か」とみている。

昨季リーグで3位、ルヴァン杯優勝、天皇杯準優勝の広島相手に「ハードなゲームになると予想している。とにかくチーム一丸となって戦うだけだ」と好スタートを願っていた。