北海道コンサドーレ札幌ペトロビッチ監督(65)が神戸戦でJ1歴代最多タイとなる通算524試合目の指揮を執った。

前日本代表監督の西野朗氏(67)の記録に並んだ。試合は1-3で敗れたが、広島、浦和、札幌を率いてきたJリーグ18年目の名将が、金字塔を打ち立てた。

J1歴代最多通算524試合目の節目を勝利で飾れなかった。試合後、ペトロビッチ監督はベンチの選手、スタッフ、相手の神戸吉田監督とのあいさつを交わして、静かにピッチを後にした。ホーム開幕戦で今季初黒星。会見で記録達成について「今の気分としてはとても残念な気持ちだ。今日勝ち点3を取れなかったからだ」と語った。

ユーゴスラビア出身でオーストリア国籍の同監督は、06年に広島の監督に就任すると、12年から浦和で6シーズン指揮を執り、16年にはルヴァン杯優勝。18年から札幌を率いて6シーズン目になる。就任初年度にクラブJ1史上最高の4位に導き、19年にはクラブ初タイトルまであと1歩のルヴァン杯準優勝。J1で最も多くの試合を重ね、最多228勝。それでも本人は「記録は並んだが、それで私がベストな監督ということではない」とどこまでも貪欲に言った。

元日本代表監督で昨年5月に80歳で亡くなったイビチャ・オシム氏から影響を受けた。94年の出会いから長年の師事で学んだのは「次のサッカーのトレンドをしっかり見極めながら、自分のチームにどういう風に落とし込んでいくのか」。「ミシャ式」と呼ばれる人が連動する可変システムに早くから取り組み、Jリーグを席巻した。

昇降格を繰り返し「エレベータークラブ」とやゆされた自身3クラブ目となる札幌ではJ1定着を果たした。限りある予算規模で選手を育て、結果も出す。その仕事ぶりを数字が証明するが、頭の中は次の試合のことだけ。「現役である限り、準備して目の前の相手を倒していく」。一般的な定年となる65歳を過ぎたが、まだまだ走り続けて数字を伸ばしていく。【保坂果那】

◆ミハイロ・ペトロビッチ 1957年10月18日、セルビア生まれ、オーストリア国籍。現役時代はユーゴスラビア代表などで活躍し、93年引退。自身もプレーしたグラーツ(オーストリア)ほかで指導し、Jリーグでは06~11年広島、12~17年途中まで浦和、18年から札幌を指揮。愛称はミシャ。家族は妻と2女。

【関連記事】J1スコア速報>>