ワールドカップ(W杯)に向け、仕上げの欧州遠征メンバーを発表したなでしこジャパンに、うれしいニュースが届いた。世界中で親しまれている人気サッカーゲーム「FIFA23」に、3月に米女子プロサッカーリーグ「NWSL」が登場。ポートランド・ソーンズのMF杉田妃和(26)、エンゼル・シティーのMF遠藤純(22)の日本代表2人が、堂々“世界デビュー”したのだ。

昨年9月の発売時、史上初めて女子のクラブチームがプレー可能となった。イングランド女子スーパーリーグに所属するMF長谷川唯(26=マンチェスター・シティー)らが登場。杉田と遠藤も、全世界で親しまれる存在になった。

ゲームのメインビジュアルにも登場する遠藤は、チーム2位のレート(能力値)。「高いスコアをいただけて、率直にうれしいですけど、本来のプレーはまだまだ」とさらなる成長を決意した。高いドリブル力がゲームにも反映されている杉田は「男子サッカーと一緒に入れるのは、すごくうれしい」と喜んだ。

NWSLは、今月下旬の開幕節で1試合平均約1万5000人の観客を動員するなど、米国で人気を誇る。W杯で史上最多4度の優勝を誇る女子サッカー大国でもまれながら、2人は進化を続けている。

遠藤は「個」の大切さを痛感。同僚はチャンスとみれば、パスコースがあっても、迷わず自分でシュートを打つ。「『味方に出して得点するのも大切だけど、ゴールが見たい』と言われました。今でも心に残っているし、はっとしました」。個の強さがそのまま、チームの強さにつながっていた。

昨年、遠藤は髪の毛を鮮やかなピンク色に染めた。「自分を知らない人もいるので何か他の人より抜けたいな、と」。米国では誰もがためらわず、好きなことをして、個性をアピールしていた。「子どもたちが髪色をピンク色にして(スタジアムに)来てくれたりしました」。映える髪色でピッチで躍動する姿は、特別な存在になりつつある。あこがれの存在としての影響力、責任感を実感した。

杉田も米国の根っからのポジティブさに影響を受けた。「日本ではミスしたり、気を使ってなかなか言葉に出せない場面でも、『次頑張ろう』とか『取り返せばいいよ』とか、すぐに軽い言葉で言ってくれる」。そんな米国の強さとともに、日本ならでは、の良さも再発見した。「こだわる分器用だし、細かいところに目がいく。米国では『まあ、いいか』というところを深くまで考えられる」。本場のおおらかさを取り入れながらも、日本の個性を大切にして勝負していくつもりだ。

W杯まで、約3カ月半。遠藤は「W杯イヤーなので、より女子サッカーを盛り上げていきたい。自分たちが結果を残すことがすごく大事になると思う」。前回19年大会は悔しい16強止まり。杉田は「壁を破れなかったことは、まわりで言われている以上に選手たちが感じている」。11年ドイツ大会以来の世界一が大目標。そのために、ゲームの中でも競い合う米国に学び、米国を超えていく。

【磯綾乃】

◆FIFA23 EAスポーツが開発し、エレクトロニック・アーツより発売されている、国際サッカー連盟(FIFA)公認の人気サッカーゲーム。1作目は94年発売。男子はプレミアリーグなど各国リーグが搭載され、男女ともにW杯もプレーできる。NWSLの日本人選手はほかに、シカゴ・レッドスターズの永里優季、ゴッサムの川澄奈穂美が登場。