青森山田がド派手にプレミアリーグEAST開幕戦を飾った。

攻守がかみ合い、アウェーで柏U-18に5-0で完勝。新エース候補のFW米谷壮史(3年)が、後半だけでハットトリックを決め、チームとして守備では被シュート0を達成した。2年ぶりの優勝へ勢いづく白星。目標に掲げるプレミアリーグ、全国総体、全国選手権の「高校3冠」に向けて好発進した。

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青森山田・米谷が開幕戦で強烈なインパクトを残した。プレミアリーグ初先発でハットトリック。昨季は1試合12分の出場にとどまったが、高校年代最高峰の舞台でも十分戦えることを証明した。「チームとして練習から1本中の1本にこだわっているので、その結果が出たと思う」。ゴールショーの主役を演じた。

後半だけでゴールネットを3度揺らした。2-0の同4分、サイドチェンジから華麗なトラップを決め、右サイドを突破したMF杉本英誉(3年)が、グラウンダーのクロス。米谷は滑り込むように左足を伸ばし、プレミア初ゴールを奪った。同12分には杉本のシュートのこぼれ球を、落ち着いて右足で流し込んだ。同37分にはDF小泉佳絃(3年)のロングボールに抜けだし、GKとの1対1から右足でコースを突いた。正木昌宣監督(41)は「もともと持っている得点力がプレミアでも通用するのを見せてくれた」と評価した。

171センチ、68キロと体は大きくないが、抜群の得点感覚を誇る。昨季は右サイドハーフが主戦場も、青森山田セカンドで出場したプリンスリーグ東北で12試合10得点。ボールを収めて攻撃の起点になり、ハードワークも光るが、米谷は「点を取るのが一番の武器」と言い切る。日々の練習からシュート精度にこだわり、「GKのいないコースに蹴れば入る。そこは自分の感覚を信じている」。練習も試合も変わらぬ姿勢で臨む。

青森県出身で「近くて強い学校だから」と青森山田中に進学し、高校3冠に挑むチームのエース格に成長した。「去年、マリノスの内野(航太郎)さんが20点ぐらい(21点)決めて、本当に衝撃を受けた。自分もそれぐらい取りたいし、3冠には絶対的なストライカーが必要。相手から怖い選手になれるように頑張りたい」。22試合に及ぶ長丁場のプレミアリーグでゴール量産を誓う。【山田愛斗】

○…青森山田・正木監督は完璧な勝利に笑顔だった。前半23分にMF芝田玲(3年)が左CKを直接沈めて先制し、同35分にはDF菅沢凱(3年)がCKの流れから追加点。後半にはFW米谷の3発と攻撃では5ゴール、守備では被シュート0をマークした。「本当、出来すぎて、ちょっとどうなんでしょうね(笑い)」。22試合のうちの1試合ではあるが、頂点を目指す上で絶対に負けられなかった。

「過去の11大会を見て、開幕戦を負けて優勝したチームは1チームしかない。開幕戦の勝利は優勝を目指す中で間違いなく必要になってくるし、『今年の山田はどうなんだろう?』という全国の目もあるので、インパクトを与えられるようにと準備してきました」

負けられない理由はほかにもあった。恩師であり、コーチとして19年仕えた青森山田前指揮官のJ2町田・黒田剛監督(52)が、快進撃を続けている。「向こうも高いレベルで負けなしなのは本当に刺激になりますし、我々も負けたくない気持ちは強いです。今日もこの後、ゼルビアの試合があるので、プレッシャーを与えられたかなと(笑い)」。開幕戦勝利から約3時間後、町田は藤枝を1-0で破り、クラブ史上初の6連勝を達成。高校年代の「常勝軍団」として青森山田も連勝街道を歩む。