オシムさんの遺志を受け継ぐ。

サッカー日本代表やJ2ジェフユナイテッド市原・千葉の監督を歴任したイビチャ・オシムさんが80歳で亡くなってから1年となる1日、千葉・市原市のゼットエーオリプリスタジアムで、愛弟子で元千葉MFの佐藤勇人氏(41)が発起人となり「日本サッカーの日本化」を本気で考えるためのプロジェクト「JAPANIZE FOOTBALL」が始動した。

世界中が悲しみに包まれた、あの日から1年。佐藤氏は「今日はオシムさんの命日。この日に集まって、この日にサッカーをする。サッカーというものを改めて考える貴重な1日になれば。サッカーを学ぶ、考える時間にできたらいいなと思います」と集まった100人の子供たちに語りかけた。

オシム流の練習メニューで少年少女たちと汗をかいた後、取材に応じた佐藤氏は「開催して良かったなというのが素直な思い。子供たちの笑顔、指導者、保護者の方がこの時間を楽しんでいた。サッカーを通じていろんなことを考えた時間になったのではないか」と手応えを口にした。

さらに「昨年(11月に)追悼試合をやりましたけど、あれで終わるのではなく、これからもやれること、やらなくちゃいけないことがある。オシムさんが愛したこの市原市でキックオフできたのはすごく良かったですね」と総括した。

オシムさんは生前「世界基準があっても、日本は誰のまねもしない方がいい。ほかの国にないものを持っている。俊敏性、積極的な攻撃、高い技術」と話していた。

その「日本サッカーの日本化」について、佐藤氏は「答えは正直ないと思っている。議論することがそれ。そのものを議論するのが大事。どういうものが日本サッカーなのかを1人1人が考えて議論していくこと」と語った。

オシムさんの教えをヒントに、日本らしいサッカーとは何かを考え、議論し、広めていく。【佐藤成】

◆JAPANIZE FOOTBALL 「日本サッカーの日本化」を本気で考えるためのプロジェクト。オシムさんから学んだことを伝えるサッカークリニックを全国で開催するほか、講演活動などを通してサッカーにとどまらないメンタリティーを伝える。さらに公式サイトを立ち上げて、オシムチルドレンのインタビュー記事、動画などを発信していく。