横浜F・マリノスFW宮市亮(30)が326日ぶりにホーム日産スタジアムのピッチに立った。28日の福岡戦で、後半33分から左サイドで出場。

昨年7月の東アジアE-1選手権・韓国戦での右膝前十字靱帯(じんたい)断裂からカムバックした。ロスタイム3分には、スピードに乗ったところでスライディングを受けて転倒。ヒヤリとさせたが「公式戦のああいうシーンで怖さなくやれて自信になった」と笑みを浮かべた。試合はFWアンデルソン・ロペスの2得点で勝利。終了の笛を聞くと、右手を小さく握った。

約10カ月の離脱は長かった。懸命のリハビリで練習試合までこぎ着けても、状態が悪化し再び別メニューを余儀なくされたこともあった。もどかしさの中でも「これもサッカー選手の一部」と受け入れた。仲間が負傷して離脱すると、ジムで励ました。復帰すると「もう戻ってくるなよ」と背中を押した。「(自分が)一番長く離脱しているので『俺なんてまだ短いな』と思ってくれるのかな」と。

引退も考えた。思いとどまったのは、待つ仲間とサポーターの存在。「そういう人たちがいなかったら、続ける選択もなかった」。焦らず、右膝周りの筋肉を鍛え上げた。「(筋力の)数値も上がった。完全に補強できた」。両膝は、合わせて4度目となる靱帯の大けが。不屈のカムバックを果たし、スタンドの宮市コールに手を振って応えた。ここからはピッチで、受けた恩を返す。【岡崎悠利】