浦和レッズが、バルセロナBのMF安部裕葵(24)を獲得することが28日、濃厚になった。関係者によると、既に交渉は順調に進んでおり、細部を詰めている段階。今夏の加入の可能性が極めて高い状況だという。

安部は広島・瀬戸内高卒業後の17年に鹿島に加入。プロ1年目から頭角を現し、プロ2年目の18年にはクラブW杯に出場し、準決勝ではスペイン1部Rマドリードと対戦。Jリーグのベストヤングプレーヤーにも選ばれた。東京五輪候補としても期待され、19年夏にスペイン1部バルセロナへ移籍。バルセロナB(3部相当)の主力で活躍し、トップの親善試合にも出場するなど飛躍が期待された。

だが、20年2月に右足大腿(だいたい)二頭筋の腱(けん)断裂の手術を受けるなど、度重なるけがで離脱を繰り返し、3年目の21-22シーズンは登録外となった。バルセロナとの契約は今年の6月末まで。公式戦からは長い期間遠ざかっているとはいえ、持っているポテンシャルは高い。来季のプレー先が注目されていた中で、再びJリーグの舞台に戻り、日本代表を目指すことを決断したようだ。

浦和は、J1リーグの守備では2番目に少ない失点(14失点)と安定しているが、得点面は改善の余地を残す。スコルジャ監督は「チームがどこを必要としているかというと前線」と攻撃陣のてこ入れを示唆していた。2列目のサイドが主戦場で、キレのあるドリブルを武器にして相手守備を切り裂く安部に白羽の矢を立てた形だ。

優勝戦線にも食い込んでいる浦和にはMF関根貴大、大久保智明ら攻撃で違いを生み出すドリブラーがいる。海外での強度を身に付けた安部の加入は大きな戦力になりそうだ。

◆安部裕葵(あべ・ひろき) 1999年(平11)1月28日、東京都生まれ。兄の影響で4歳ごろサッカーを始め、城北アスカFC、本田圭佑のプロデュースするS.T.FCを経て、広島・瀬戸内高へ単身サッカー留学。高3夏の総体で鹿島に見いだされプロ入り。鹿島では49試合4得点。19年夏にバルセロナへ移籍。バルセロナBに所属し、28試合4得点。171センチ、65キロ。血液型O。利き足は右。