わずか1試合でレンタル終了の珍事が起きた。

J3福島ユナイテッドFCは8日、関東1部リーグに育成型期限付き移籍していたGK上川琢(23)が復帰すると発表した。来年1月31日までの移籍期間だったが、先月23日に移籍を発表してから「15日」での出戻りとなった。その間、1試合に出場しただけとなった。

上川は双方のクラブでコメントを発表。東京ユナイテッドFC側では「自分は東京ユナイテッドFCで残りのリーグ戦、全社、地決を戦い抜きJFLへ覚悟を持って移籍しました。突然のことで、自分も動揺していますが、この世界にいる以上仕方がありません」などとコメントし、寝耳に水の出来事だと説明した。

ある関係者は、福島側にGKの負傷者が続出したことに加え、9月3日の関東1部リーグ、東邦チタニウム戦でスーパーセーブを連発したことが評価されたという。「びっくりですよ」とレアケースであることを強調。そして「クラブとしては痛いですが、彼がつかんだチャンスなので応援したい」と結んだ。

上川は早大出身で、22年から福島に加入したが公式戦の出場機会はゼロ。3日の関東リーグが約2年ぶりの公式戦出場を果たし、その試合後は「自分がチームを救ってJFL昇格に向けて頑張りたい」と新たな目標を語っていた。

父は2002年日韓大会、06年ドイツ大会と2大会連続でワールドカップ(W杯)で主審を務めた「レジェンド・レフェリー」上川徹さん。移籍に伴い高校時代以来となる神奈川県内での実家暮らしを始め、「お父さんといろんな話をするのが楽しい」と話していた。

上川は気持ちを切り替え、福島側の公式サイトには「東京ユナイテッドFCで過ごした約2週間は、福島で1年半積み上げてきた成果を実感するとともに、成長することができた有意義な時間となりました。この機会を自分のキャリアにおいてポジティブに捉え、もう一度、福島ユナイテッドFCのために全力を尽くして参ります」と意気込みを語った。

なお同じ「ユナイテッド」を名乗る両クラブだが、兄弟関係ではない。

※「育成型期限付き移籍」とは、18~23歳の選手が所属チームより下部カテゴリーへ移籍する場合に限り、移籍期間外での期限付き移籍を可能とする制度。