日本サッカー協会の元会長で、相談役の川淵三郎氏(86=日本トップリーグ連携機構会長)が3日、神戸市西区の環境配慮型システムを採用したサッカーグラウンド「バサラヴィレッジグリーン」を視察。天皇杯で浦和レッズのサポーターが暴徒化した騒動に言及した。

このグラウンドは、欧州でプレーしてきた元日本代表FW岡崎慎司(37)らが22年に完成させたもの。人工芝の下に雨水を循環させることで、表面温度を最大で40パーセント低減させることが実証されているサステナブルな人工芝グラウンドのシステムで、岡崎から話を聞いていた川淵氏が訪問した。

「子どもの笑顔のためにいいこと」と話した川淵氏は、現在のJリーグについての質問にも答えた。

天皇杯で浦和サポーターが暴徒化し、処分された問題について「暴力沙汰になるような行動をした方がチームのためになるかのような、もう大変な誤解をしている」と一刀両断した。

93年のJリーグ開幕に向けて各国を視察した川淵氏は当時、暴れた人物を収容するための「おり」を持つ欧州のスタジアムを見て「日本人で、そんなことは絶対にあり得ないから、いらないと思った」と設置を不要と結論づけたという。

しかし「現実にはあり得たわけで、やっぱりそういうことに対しては実に腹立たしい思い。信じられないよ、そういうことをすることが」と続けた。

「安全安心」なスタジアム作りを目指してきた当事者として、怒りを抑えきれなかった。

そんな川淵氏が理想とするのは、米メジャーの野球場だという。「アメリカで大リーグを見た時に、ヤンキースの応援はここだけで、エンゼルスのファンはあそこといった決まりはないでしょう。すぐ隣で別チームを応援する。それがJでもできたらいい」。Jリーグ開幕時には、さまざまな観点で考慮し、クラブごとにエリア分けをすることを選択したが、将来的には敵味方関係なく応援できる環境を望んでいる。