川崎フロンターレの大卒ルーキーMF山内日向汰(22)がヴィッセル神戸戦で公式戦デビューを果たした。

川崎Fの下部組織出身で、桐蔭横浜大を経由して今季から「古巣」に戻ってきた。Jリーグ開幕前の注目される一戦に左のインサイドハーフで先発出場すると、攻撃の高いクオリティーを示しながら、豊富な運動量で守備でも貢献した。「夢のような時間を過ごせました」。確かな「戦力」であることを証明した。

5万人超が詰めかけた国立は、23年元日に大学選手権(インカレ)で優勝した思い出の地。そこでいきなりタイトル獲得と記憶に残るプロデビューになった。

「そもそもフロンターレのユニホームを背負って戦うことが自分の中で特別。それにプラスしてインカレで優勝した国立でデビューできたのはすごくうれしいです。デビューとタイトルが同時にできたのでいいスタートできた」

大舞台にも不思議と緊張はしなかった。「大学サッカーも非常に強度が高いですし、レベルも高い中やってきたので、いつも通りやるだけだった」。堂々としたプレーを披露も「まだまだ出せていない部分はたくさんある」と貪欲に上を目指す。得意の中盤は、脇坂泰斗主将(28)をはじめ、橘田健人(25)、瀬古樹(26)、新加入の山本悠樹(26)、ゼヒカルド(25)ら強力なライバルがひしめく。13日のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)山東戦では、先発入りを逃したが「いつかチャンスはめぐってくると思っていた」。常に準備をしていた成果が出た。

大観衆の前で躍動したが、3月末までは大学生だ。友人からは多くの祝福連絡をもらった。「まだあまり実感が湧かないので、もっと実感が出るくらい活躍したい」。山内がプロの世界で確かな一歩を踏み出した。【佐藤成】